社会に出る前に捨てておくべき3つの財産

大上段からものがいいたくなったので勢いで書く。

1.価値観を捨てる

社会に出るくらいの歳になれば、各自色々な価値観を持って生きていると思う。まずはここから捨てていく。大抵の価値観は「自然と」身に付いたものだろう。だからこそ、一度、意識的に捨てた方がいい。自然と身に付いたということは、考えて身に付けたわけじゃないということだからだ。命は大切とか、暴力はイケナイとか、子供は社会の財産とか、お金はないよりある方がいいとか、結婚して家庭を持つのが幸せとか、学校の勉強は社会で役に立たないとか、モテる人間は勝ち組とか、とにかくどんな価値観でも自分で検証した記憶のないものは一旦捨ててみる。

何しろ、自然と身に付いた価値観のほとんどは他人の価値観だ。自分なりの幸せをつかみたいなら、他人の価値観を規範に生きるというのは非合理的だろう。もちろん、一旦捨てた価値観をもう一度自分の意思で拾い上げるのは構わない。それはもう、自分の価値観といっていい。こうして、自分にとって本当に価値のあるものを再確認していく。人生における優先順位が見えてくる。少なくとも、他人の目を気にして不幸になるようなことは減るはずだ。それから、一度決めたからといって縛られる必要はない。価値観なんて適宜更新されるくらいの方が健全だろう。

2.経験信仰を捨てる

相応の経験というのは時間をかけないとできない。だから、貴重なものではある。けれども、人の一生は限られている。経験できることには限りがある。畢竟、人はそれぞれがそれぞれの限られた経験の中で生きるしかない。換言すれば、どんなに偉く見える人でも、過ごしてきた時間分の経験しかしていない。そして、傍目に派手な経験が地味な経験よりも素晴らしいという保証はない。3日間ネットでヨーロッパの情報を渉猟した経験と、3日間ヨーロッパ旅行を愉しんだ経験を比較することはできない。それはまったく別の経験だからだ。これを誤解する人は多い。

富士山の標高や植生や気候をいくら知っていても一度の富士登山には及ばない。こんなものは、ウォシュレットなど豚骨ラーメンには及ばない、というのと同じくらい比較する意味が分からない。知識と経験は対立項ではない。よく振りかざされる経験至上主義は、何故か学校や部屋やネットでできる経験を認めない。ネットでたくさん知識を得るとか、本を読んで知的興奮を覚えるとかいうのも立派な経験だろう。社会で役に立つ経験や会社の売り上げに貢献する経験と比べて卑下する必要はない。上司が偉いのは会社に都合のいい経験を積んでいるからでしかない。

3.理論武装を捨てる

知識を身に付け自らの価値観を育てることと、理論武装することとは同じではない。理論というのは誰かを説き伏せるためにあるわけではないし、肥大した自意識を守るためにあるわけでもない。ただ純粋に思考を助けるためにある。決して、自分を守るために身に付ける類のものではない。つまり、武装するものではない。間違った目的意識は、あまり幸せな結果を生まない。守ることが目的になるとき、理論は理を離れがちだ。自分が傷付かないために適当な理屈で誰かを攻撃したり、ちっぽけなプライドを守るために自分に嘘を吐くことがうまくなったりする。

守るというのは、何かを排除することだろう。それは同時に外部を敵と見做すことでもある。肥大した自意識が生んだ敵なんて本当の敵であるはずがない。人は自分を幸せにするためにこそ思考するべきだ。いい替えるなら、理論は生きる快楽のためにある。であるならば、インプットを廃して自らの思考のみに閉じこもるのは得策ではない。あたら視界を狭めて幸せの機会を逃すことになりかねない。幸せすぎて周りが見えないというなら、それはそれで構わない。独りの世界で幸せというのもいい。けれども、そんな人はそもそも理論武装をしたりはしないはずだ。

4.まとめ

社会に出るというのは何も特別なことではない。だから、社会に出たら何かが変わると思っていたのに別に何も変わんないな、というのが普通の感覚だと思う。社会に出ても何も変わらないのは、自分の世界の見方が変わらないからだ。それでそこそこ幸せならいうことはない。けれども、何かがきっかけで精神が負の方向に振れることはある。そんなとき、世界を変えることは難しいけれど、世界の見方を変えることはできるかもしれない。上の3つは、たとえば「視野を狭めるもの」「コンプレックスを生むもの」「自家中毒を引き起こすもの」といい換えてもいい。

これらは財産のような顔をしていつの間にか負の財産になっていたりするから性質が悪い。

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