有害サイト規制≠リテラシー教育

有害サイトを規制する法律が成立したらしい。

有害サイト:規制法が成立…閲覧ソフト組み込み義務化 - 毎日jp(毎日新聞)
「青少年ネット規制法」成立 - ITmedia News
衆法 第169回国会 30 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案

個人的な感想をいえば、できる範囲でやればいいよ、と思う。自殺の仕方なんてネットでシェアするほど価値ある情報とは思えないし、溢れんばかりの性情報が子供の内から簡単に手に入る世の中なんてつまらない。女の股間にはどんな秘密が隠されてるんだーっ!と悶々とするのも楽しい子供時代の特権である。もちろんグロ萌えの幼稚園児を育てる必要なんて全然ない。だから、まあ、そういう怪しげな情報はいかにも怪しげですよ、という形で存在していればいい。インターネットを始めた頃は、好みのエロ画像を手に入れようとして、ずいぶんと検索スキルを磨いたものだ。

だから、ぼくはこの法律自体にそれほど悪印象は持っていない。まあ、あまりに恣意的な運用がなされるようなら、そのときは眉を顰めることになるかもしれない。たとえば、自民党政治に憤慨した関係者が自民党バッシング@インサイダーとかいう赤裸々な過激放言自民叩きサイトを作って大当たりしたとする。調子に乗って、現在の自民党員など全滅した方が日本のためである!とか、いつか自民党本部にバンザイ突撃を敢行する覚悟である!とか書いたら、犯罪を明示的に誘引するとのかどで閉鎖されたなんてことになるかもしれない。例は悪いけれど、そういう心配はある。

いずれ表現の自由なんて、そもそもが限定的なものだ。自分のブログにセフレとの無修正2穴ファック動画を掲載する自由は規制前からすでになかった。この手の規制はすべて恣意的なものだ。昔、毛の生えた股間写真はダメだけれど発毛前ならアリという時代があった。単純に規制する側の頭にペドフィリアの存在がなかったんだろうと思う。後に、少女幼女の類を性的に見る層が少なくないことが判明し、しかも、それは変態的で犯罪的だという世論ができあがった。今では毛の生えた股間よりも無毛の方が厳しい。規制の基準なんてそんなものだし、それでいいんだとも思う。

エロの話ばかりで恐縮だけれど、何に「著しく性欲を興奮させ」られるかは人による。そして、ダメだダメだといわれるほど隠微な性質はいや増す道理だ。SMが市民権なんか得てしまったらツマラナイ…昔、団鬼六がそんな趣旨の発言をしていた。変態的で背徳的なほど性的興奮は高まるという話である。若者の性欲を抑圧によって高める。少子化を憂うお上によるなかなかにオツな法律だ、くらいに思っておけばいい。犯罪や自殺や暴力に関する情報については、それに触れたとき精神崩壊を起したり、反社会的、反人道的行動を起さないよう教育をすることこそが本筋だろう。

だから本当の問題は、法案の中身がフィルタリングの話に終始している点にある。情報を制限している間にリテラシー意識を高める。それこそが大切なはずで、法律案を見ても「インターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動の推進等」という項目が一応ある。にも関わらず、その中身はやっぱり臭いものに蓋をしようという内容でしかない。隠すことが教育だとでもいうのだろうか。人間社会から犯罪や性や暴力はなくならない。ならば情報を隠すだけで対処法を身につけさせないのでは完全に片手落ちである。それどころか、無知が悲劇を生む可能性だってあるだろう。

これほど巧く本質を外した法律をつくるなんて、とんだ「才能の無駄遣い」である。


【 関連して読んだサイト(追記) 】
規制賛成派も反対する青少年ネット規制法 - 狐の王国
#「フィルタリングソフトウェアの新規開発は必要無い」には大いに同意。ここは大切。
いわゆる「青少年ネット規制法」が成立、どのような影響が今後考えられるのか? - GIGAZINE
#事実上成人も対象となる情報統制だといいたげな結論は俄かには首肯しかねるが…。

related entry - 関連エントリー

trackback - トラックバック

trackback URL > http://lylyco.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/355

comment - コメント

>溢れんばかりの性情報が子供の内から簡単に手に入る世の中なんてつまらない

それが面白い、楽しいと思う人もいるでしょう

> あかささん
いるでしょうね。幼い頃から当たり前に性情報に触れることで、思春期にはもうAVとかじゃ興奮しないね、なんてことになるとつまらないなぁと個人的に思っているだけのことです。

コメントを投稿

エントリー検索