似非科学に限らず、騙される心を理屈で救うのは難しい

これは一見有効な提言に見えるし、一部有効な人もいるかもしれない。

理解しないという対応 :: Archives

ただ、大部分の被害者候補を改心させることはできないように思う。何故なら、似非科学商法に騙される人の多くは、似非科学に騙されているというよりは、単に欲に目が眩んで正常な判断力を失っているだけのように思えるからだ。いい古されたフレーズではあるけれど、「人は自分の信じたいものを信じる」のである。宣伝文句の似非科学を信じるのは、「痩せたいから」であり、「病気を治したいから」である。「不幸から逃れたいから」といって、霊験あらたかな100万円の壷を買うのも同じことである。詐欺師たちはそうした「心」に付け込む。理性を狂わせるのが仕事である。

だから、「理解しようと思うな、様子を見ろ」というリンク先の提言は、あまり効かないだろうとぼくは思う。それは欲に目が眩みがちな人に、とりあえず冷静になれといっているようなものだからである。真っ当な助言ではあるけれど、冷静になれといわれて冷静な判断ができるような人は、そもそもそんなトンデモ商品に飛びついたりはしない。なかなか手に入らないものが今なら手に入るかもしれない。そんな思いに突き動かされて自ら進んで騙される。そういう人たちを救う言葉として「まあ、半年から1年、落ち着いて様子を見てみろよ」というのはどうにも弱い気がする。

流行のダイエットやら、マイナスイオン家電くらいなら、まあ騙されたからといってどういうほどのこともない。実際それで、多少なりともいい気分で過ごせたり、みんなでワイワイ話題に乗って楽しめたなら元は取れているともいえる。けれども、「不治の病を治す水」やら「幸福の壷」は詐欺として悪質である。付け入る場所が酷い。藁をも縋る人間の「信じたい心」ほど籠絡しやすいものはない。医者も見放した末期癌が治るかもしれないと思えば、どんな胡散臭い藁にでもすがるのが人情というものだろう。そして、それを諭す言葉としても「様子を見ろ」はあまりに無力だ。

正しい「理屈」を以て、真に救うべき人をこの手の詐欺から救うことは極めて困難だろう。

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