凡庸なるオートマトンのためのエリート・ハッキング・ガイド

オートマトンとは自動人形、或いは、ロボット…つまりぼくのことだ。

はてなも超人の割合が減ってきたなぁ - Automatons Hacking Guide

オートマトンは世界から受信したあらゆる信号に自動的に反応しながら生きている。自らの自由意志だと思っているものでさえ、その意思を有するに到るまでの限られたインプットの集積が生んだ自動反応にすぎない。頑張ろうと思って一歩踏み出すか出さないか、そんな選択さえ意志決定の瞬間までに集積されたインプットによってほとんど決定されている。であれば、情報の均質化がオートマトンの均質化を招くのは当然である。オートマトンはアウトプットの質によって選別、グルーピングされ、社会の中に適宜配置されていく。均質化されたオートマトン在庫は当然ダブつくことになる。

こうした非合理的な社会構造を調整するのが一部のエリートの役割である。エリートはアウトプットの非凡によって選別される。彼らは均質化の波の中でも何故か均質化されない特殊な存在である。ただし、エリートもオートマトンであることに変わりはない。先天的にインプットに対するアウトプットが異質であったり、後天的に集積されたインプットが一般的でなかったりする場合に生まれる。そうした特殊オートマトンもまた、アウトプットの質によって社会の中に適宜配置される。社会の調整役として有効に機能する場合はエリートとなり、機能しない場合はただの社会不適応者となる。

つまり、非合理な社会構造が改善されないことは、そのままエリートの不在を意味する。ぼくのような凡庸なオートマトンにとってこれは死活問題である。ミクロな仕事の上流工程を担うか下流工程を担うか程度の差異しかないオートマトンの群れに、社会構造の最適化なんてできるわけがないのである。エリートの不在は、均質化がとことん進行している証左でもある。つまり、ぼくたち凡庸なオートマトンは、その凡庸なアウトプットを駆使して、近未来のエリート・オートマトンを製造する必要に迫られている。もう悠長に先天的特異体質に期待している場合ではない。ことは急を要する。

社会不適応者を量産する可能性を顧みず、均質化された社会から徹底隔離されたオートマトンを量産する。そのためには、進んでその危険を冒すオートマトンを選別する必要がある。既存のオートマトンの中にも、適切なインプットを与えることでそうした道に踏み出そうというオートマトンはきっと存在する。やはり可能性として高いのは、適度な選民意識を既に獲得しているオートマトンだろう。凡庸なオートマトンの中にあって、彼らの存在は比較的希少である。彼ら自身が今からエリート化することはあまり期待できない。が、彼らの子孫をエリート化しようという話に乗る可能性は高い。

エリートの生涯は苛酷である。何しろその作業負荷の高さに比して、天与の器はそれほど高性能なわけではない。凡庸なオートマトンとそれほど差異のない、精々少しばかり頑丈なくらいのオートマトンにすぎないのである。いわば社会存続のための人身御供たることを運命づけられた、そして、その宿業に心身ともに最適化されたオートマトンなのである。つまり、凡庸なるオートマトンにはとてつもなく過酷に思える仕事を、喜んでこなしてくれる有難い存在なのである。だから、選民意識を持ったほんの少しだけ希少なオートマトンを毛嫌いしてはいけない。彼らは大切な希望の種である。

速やかに彼らの子供たちを隔離し、エリートの生産体制を整えなければならない。

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