面接には極意よりも行動力

ネットを徘徊していると面接の話題によくぶちあたる。

今日もつらつらとまとめ系サイトを眺めていると「就職活動 現役面接官が教える面接の重要点」なんて記事がネタにされていた。就活ポイントの「顔」に突っ込むのはまあお約束なわけだけれども、いわゆるニートやヒキコモリみたいな人たちも就職はしたいんだな、というのがぼくの感想なわけで、しかもまあ、これは意外なことでもなんでもなく、そりゃあ食ってくためにいかに稼ぐかという問題は、よほど頭のネジが緩んでない限り少なからず気になることではあろうと思う次第だ。

色々ついているコメントはおおよそ次の4パターン。アドバイス系が採用側視点と内定実績者視点の2種、それに、これから就活に臨む2ちゃんねらからの相談系と、あとは雑多なネタやらツッコミ系。まあ、こういうスレッドで見るべきは当然アドバイス系のコメントで、なかなかに具体的な事例がぽろぽろと報告されている。そして、そんなのを丁寧に拾っていくと確かに参考にはなるけれど、やっぱり正解はないということが分かってしまう。100人の面接官がいれば100通りの可否基準がある。当たり前のことだ。

現実問題として、多くのアドバイスにあるように面接官は面接のプロとは限らないし、面接のプロとて必ずしも必要とする人材を見抜けるわけではない。20年採用担当で年間数百人の中からこれはという人材を選び続けてきた実績のある面接官なら、それは普通の人よりは見る目があるだろう。それでも、やっぱり見落としや見込み違いはある。つまり、実力も相性も合っていたかも知れない会社の面接で一も二もなく簡単に落とされる、そういうことは、たぶん、ある。これは会社にとっても、求職者にとっても不運な事態である。

こうした不運は避けようと思って避けられるものではないのだから、ありていにいって諦めるしかない。面接対策としてできることなど「落とされる条件」に抵触しないよう精々気を付けることくらいである。そのためのヒントは、こうしたスレッドに山のように転がっている。「こうすればいい」というアドバイスは適当に流して、「これだけはするな」という忠告だけを拾い集める。これなら付け焼刃でも価値がある。自分を巧くプレゼンテーションする能力など簡単に身に付くはずがないし、なくても就職はできるはずだ。

深刻なのは、仕事の実力や顔やコミュニケーション能力なんかよりも、恐らくは年齢である。若いというのは、それだけで有利なのだと自称ニートや自称ヒッキーは知るべきだ。採用側も若い人間に過大な期待などはしていない。それでも伸びシロの少ない中高年を雇うよりは、会社にとって使える人材になる可能性は高い。そう思ってくれる。仕事のできない年寄りは辛いけれど、若者が仕事を知らないのは当たり前だ。技術的にもそうだし、社会人としての対応力についても同じである。その意味で、新卒はとてもハードルが低い。

採用というのは会社にとっても賭けである。人件費というは会社にとってみれば定年までのローンみたいなものである。雇用者は被雇用者を簡単にクビにはできない。つまり、カスを掴んでもよほどのことがない限り、本人が辞めるか定年になるまで給料を払い続けなければならない。業界経験豊富な40台半ばの妻子持ちに、手取り18万を提示するなどあり得ないし、首肯する求職者もそうはいないだろう。といって、45万を提示しても使える保証はない。使えない中高年を高い賃金で雇うほど馬鹿馬鹿しいことはない。

既卒で就職経験がない。働かなきゃとは思っている。以前のぼくだ。そんな人は、1日でも若い内にリクナビでも何でも見て、とにかく面接に行くべきだ。最初から会社を選ぼうなんて思わなくていい。まあ、おおよその業界なり勤務地なりは決めておいた方がいいけれど、それ以上は色々考えても無駄だ。下手に絞り込まず、こちらから条件など出さなければ、絶対にどこかは雇ってくれる。いくつか内定がもらえたなら、そのとき初めて選べばいい。そして、とにかく働き始める。2、3年頑張って、できればある程度の預金もつくる。

やりたい仕事を探すのはそれからでもまったく遅くない。

…と、別に社会的成功者でもないぼくがいってみたところであまり説得力はない。

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