中3生の受験に敦賀市は何を期待しているのか?

中3だけってのが面白くてつい反応してしまった。

中3年教室に冷暖房整備 敦賀市予算案、一般会計3年連続減(中日新聞)…年々使えるお金が減っているという話で、その使い道が色々と書かれている。地方にとって切実なのは、結局のところ人が根付くかどうかだろう。バリバリ働ける人材が年頃になるとみんな職を求めて都会に出て行く。起業するような元気な若者も足場には大抵都会を選ぶ。だから、地方で生まれて地方の税金で育っても、税金を落とす側になるともう地方にはいない。場合によっては大学くらいでいなくなる。この流れを止めない限り、たぶん地方の復興は難しい。

敦賀といっても原発とラーメンくらいしか思い浮かぶものがない。数少ない観光資源と踏んだのか「敦賀ラーメンブランド化プロジェクト」なんてことをやっている。確かに敦賀ラーメンというのは結構耳にするし、それ目当てでわざわざ他府県から敦賀詣でする輩もいるようだ。とはいえ、こんなのはやらないよりいくらかマシ、あるいは、毒にも薬にもならない、といった程度のものだろう。これで敦賀が潤ったという噂は聞かない。このラーメン目当てで敦賀に移り住んだとか、敦賀ラーメンブランドで起業して大儲けなんて話は聞こえてこない。

敦賀市は貴重な一般財源の一部を割いて中3教室に冷暖房を整備しようという。確かに教育環境の改善というのは大切だ。第一に、教育環境の充実は、将来有望な人材を育む。第二に、それは幼い子を持つ若い親たちにとっても魅力的だ。つまり、子育てに適した環境だと認知されれば、若い世代の家族を呼び込める。これは大きい。住宅が売れ、人口が増える。しかも、やってくるのはこれから働き盛りの世代だ。まあ、そんなにドラスティックにはいかないまでも、人を根付かせる方策として子育て、教育というのは使えそうな武器である。

にしても、だ。中3教室に冷暖房はどうなんだろう。まず、受験勉強をエサにするというのがイタダケナイ。確かに、未だ学歴を云々する風潮は根強い。ぼくの周囲でもお受験に奮闘する親バカを何人かみかけた。まったく悪いことだとは思わないけれど、それほど子供の将来にプラスだとも思わない。親の趣味みたいなものだろう。ブランド嗜好に近い感覚なのかもしれない。それにしても、地方自治体が受験を焚きつけてどうするんだろう。偏差値の高い高校の先は、偏差値の高い大学だろう。それは地方の大学では、たぶんない。

だから、地方自治体としては大学や就職まですべてを地元で完結させる、そのための方策を考えるべきなんじゃないか。公立中学の、それも中3生の教室にだけ冷暖房を入れるなんて、いったい何の意味があるんだろう。そもそも冷暖房と合格率の間には、何か明確な相関関係があるんだろうか。そりゃあ、快適な教室は好い。3年の生徒たちは喜ぶだろう。1、2年生は進級が待ち遠しくなるに違いない。3年の教科を教える先生たちも嬉しいかもしれない。でも、それだけのような気がする。少なくとも、エアコンが頭を良くするとは思えない。

まあ、単に3,100万なんて半端な金を使う苦肉の策だったのかもしれないけれど。

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