大抵の男は天寿をまっとうできない

平成17年の年齢調整死亡率が公開された。

都道府県別に死亡率を見てみようという統計で、何が年齢調整かというと、年齢構成の地域的な偏りを平らかにして、よりフラットな死亡率を算出してみたという話である。要するに若者が都会に集まると、田舎は年寄りばかりになる。すると、田舎の死亡率が不当に高く見えるから、計算で調整してしまえというわけだ。

そこまでして、どの都道府県が死にやすいか調べるのだから念が入っている。自分の住む町が死亡率トップだったとして、ぼくとしてはどう反応すればいいのかよくわからない。とはいえ、死因別の統計までついているから、行政の人間には無視できない問題もあるのだろう。ダントツで事故死が多い県なんてのはいただけない。

発表資料には色んな死因についてのグラフが掲載されている。見ていて思ったことは、どのグラフを見ても男ばかりが死んでいるという哀しい事実である。とにかく女性は死なないのである。これが本当なら、男女の人口比は恐ろしく偏ってしまうんじゃないか。そう思って総務省は統計局の資料をあたってみた。

平成17年の男女別人口を見てみると、男が62,348,977人、女は65,419,017人とある。ふむ、やはり女性が多い。けれども、女性が多い上に死なないとなると、その差は加速度的に広がってしまいそうである。そうならない理由は、人口比を年齢別に見てみると判ってくる。これまた男の子には少々辛いお話である。

早い話が、男はたくさん生まれて、たくさん死んでいくのである。

同じく平成17年の統計で見てみると、0歳から50歳までは男の方が人口は多いのである。これが51歳を境に逆転する。しかも、歳を追うごとにその格差は圧倒的になっていく。80代あたりまでいくと、もう男は女の半分ほどしか生きていない。天寿を全うする男のなんと少ないことであろうか。文字通り女は強いのである。

最初の統計に付された参考資料に主要死因別にみた性別死亡数が載っている。死因を大きく11に分けてそれぞれの死亡者数を出しているのだけれど、その内女性の死亡率が男性のそれよりも高いのは心疾患、脳血管疾患、老衰、腎不全の4つである。老衰はもとより、他の3つもおよそ歳のせいで体にガタがきた結果だろう。

それらに比して、ガンをはじめとする大病や、事故、自殺で死んでいるのは大半が男である。かように男というのは心も体も弱っちい生き物なのである。昨今流行の熟年離婚だって、今後、男の死期を早める可能性は高そうだ。女房に逃げられるなどは、甲斐性のない男の責任なんだろうけれど、まあ、切ない話ではある。

ちなみに、老衰で死ぬ人口の男女比は1対3、どうやら男は女の3分の1しか最期の時まで生きることができない。それまでに、病気や事故や自殺で死んでしまう。逆に自殺で死ぬ人口の男女比は3対1で、老衰とは正反対というのが面白い。否、別に面白くはない。表面的には女性の方が悩んでいそうに見えるところが不思議である。

会社にいても、ツライとか、シンドイとか、不満が一杯だとか、そういう話に忙しいのはどちらかといえば女性たちの方で、男性諸兄は大抵それを宥める側である。恋愛沙汰にしてもそうだ。情緒不安定になってみせたり、今にも死にそうな顔をしたりするのはおおよそ女性の仕事で、男はやっぱりそれを宥めすかすのが仕事である。

けれども、統計を見るとこんな風にか弱い女性というものが、ただの幻想だということははっきりしている。表面的な弱さと芯の強さで最後まで立派に生き抜く。それが女性の強さというものだろう。一方でそうした社会のありようというのは、実は個々人の資質や、生物学的な男女の差異に根ざすものではないようにも思う。

たとえばそれは、生まれる子供の男女比に偏りがあるせいで起こるのかもしれない。男が余れば恋愛関係における選択権は実質的に女性のものになる。これだけでも、男にとっては相当に不利な世の中である。生まれながらに激しい競争の世界に身を投じざるを得ない。ならば、男が女よりも余計に疲弊し弱るのは当然のように思える。

世界はうまくバランスをとるようにできているということだろうか。

いずれ、女性には広い心で世の男性を愛していただきたいと思う次第である。

related entry - 関連エントリー

trackback - トラックバック

trackback URL > http://lylyco.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/184

comment - コメント

大変興味深い考察ですね^^

女性が男性よりも長生きなのは、私が考えるにやはり子孫を宿し、育む仕事が女性にはあるから…だと。
何故なら、子供が巣立つまで精魂込めて育てるのは、動物界ではメスの役割が大きいですよね?
「百獣の王」ライオンでも、子供を育てる為に狩猟をするのはメスですから。
だから、色んな意味で、女性の方が強く作られているのかな?等と思っています。

まあ、精神的な面を考えると、女性は男性よりも気持ちの切り替えが速いのではないかと。
伴侶に先立たれて、ガクッと来るのは男性。
女性は、最初は落ち込んでいても、時が来れば人生を謳歌している方が多いような気がします。

まあ、幾ら考えても、女性の方が男性よりも精神的にも身体的にも「強い」のでしょうね。

>いずれ、女性には広い心で世の男性を愛していただきたいと思う次第である。

ははは!全くそうですね^^
広い心を持つように精進しますね♪

○○さん(お名前がなかったので…)、いらっしゃいませ。
おっしゃるとおり、母は強しというのはまあ考えられる線でしょうね。男はひっくり返ったって、子供を産めませんし。まあ、近頃は子育に関しては男女平等にという風潮もあるようですが。
ただ、不思議なのは、ある程度歳を重ねると、普通女性は生殖能力を失いますし、子育てからも開放されるわけですよね。一方で、男は割りと歳をとってもできちゃったりするわけです。それでも、やっぱり女性の方が強いんですよね。
単純に自然の摂理だけでいうなら、種としての役割を終えれば衰弱して死ぬのが当たり前なんだけれども、どうやら人間というのはそうならない。すると、やっぱり、なにか生物学的な要因以外の何かが働いているのかなぁとか妄想してしまうわけです。といっても、妄想しているだけで、さしたる根拠があっていってるわけじゃないんですけどね。
ともあれ、○○さんが、世の男性を大いなる母性で愛してくれることを願っています。(もしも次にここにこられたときは、是非ハンドルネームをのこしていってくださいね…)

こんばんは。
前のコメントは、私(makoto)です。

スミマセン…HNを入れたつもりだったのですが、入っていなかったのですね^^;
おっちょこちょいでごめんなさい。

makotoさんだったんですね。
こんな独り言みたいなエントリーにコメントありがとうございました。ぼくは基本的にこういう実際的でない話題が好きなようです。

コメントを投稿

エントリー検索