ハイエンドヘッドホンの世界を覗き見る

Sennheiser“HD650”上司のヘッドホン好きが発覚した。

移動の車中でAKGだSennheiserだと、欲しいヘッドホンを互いに捲くし立てることになろうとは思いもよらなかった。ヨドバシの試聴コーナーに行きたい!などと雄叫びを上げるオカシな二人に、同行していた同僚も呆れ気味だった。物欲ベクトルの合致ほど話を弾ませるものはない。

ヘッドホンというのはこれでなかなか馬鹿にならない。手軽に持ち運ぶためとか、大きな音でスピーカーを鳴らせないときの代用品とか、その程度の認識でいるなら、まずは品揃えの豊富な店でハイエンドモデルを試聴してみるべきである。きっと世界が変わるはずだ。

とはいえ、その手のヘッドホンは値段もハイエンドだ。

買うならまずは手近なところからいくのがいい。というわけで、とりあえずiPodの付属イヤホンを卒業してみる。だいたい付属品というのはロクなものがない。あの白いイヤホンは、正直なところ、見た目がiPodにマッチしているという以外には、良いところなんてひとつもないと思う。

代わりに何をチョイスするか。ここで、あまり中途半端なものに手を出すのはよくない。それなら付属のままいく方がマシである。まずは、1万円前後を目安とする。そして、次に考えるべきは形である。耳を覆うタイプか、耳穴に押し込むタイプか。これを日々の荷物事情なども合わせて考える。

大きさが苦にならないという人は、耳を覆うタイプの密閉型ヘッドホンを考えてみるといい。同じような形でも開放型だとかオープンエアだとか呼ばれるものは避けた方がいい。これは静かな屋内で使うもので、戸外だと周囲の雑音は丸聞こえだし、音漏れだってし放題である。

密閉型ヘッドホンは比較的選択肢が広いのも魅力だ。

ちなみにぼくはSennheiserのPX200というコンパクトな折りたたみ式のヘッドホンを持っている。iPodのお陰だろうか、最近はずいぶんと値下がりしているし、PX200 WHITEなんてものまで出ている。バランスの良い音と携帯性をハイレベルで両立した稀有なモデルだと思う。かなり気に入っている。

一方とにかくコンパクトなものに限るというなら、インイヤータイプということになる。これも1万円前後でかなり良い音が手に入る。もちろんハイエンドになれば5万円を越えるようなものも珍しくない。付属イヤホンのレベルなどは、この価格帯からも容易に想像できるというものだろう。

このタイプは耳栓をするのに近い装着形態で、遮音性が高いのもポータブル用途に向いている。ぼくはSHUREのE2C-Jというのを使っているのだけれど、しっかり押し込んでやると、電車内でもかなり深く音世界に没入できる。この小ささで低音までそれなりに聴かせてくれるのだから侮れない。

他にも魅力的な選択肢は色々とある。見た目だって大いに気になるというなら、ちょっと頑張ってSHUREのE4C-Jなんてのもいい。予算は3倍になるけれど、家ではCDプレイヤーでも聴き倒すくらいの気持ちで買うなら、決して無駄な買物にはならないはずだ。ぼくだって余裕があれば欲しい。

iPodの再生能力や圧縮ファイルの質を考えれば、とりあえずこの辺りのクラスで愉しんでみるのが正解だと、個人的には思う。これでも、付属イヤホンしか知らない人なら十分に感動できるはずだ。これまでいかに多くの音を聞き逃していたか思い知るに違いない。

ここであまり感動し過ぎると、きっと、そこから先は茨の道である。物欲との壮絶なる闘いが幕を開ける。もちろん、ハイエンドに手を出すなら、用途がiPodでは宝の持ち腐れである。CDプレイヤーにアンプにスピーカー…。魅惑のオーディオワールドが、すぐそこで口を開けて待っている。

ちなみに、ぼくが欲しいヘッドホンの筆頭はSennheiserのHD650というやつで、これを買う前にCDプレイヤーもアンプも良いものにしないことには役不足になってしまうという図抜けたシロモノだ。もちろん、これより高価なヘッドホンだってある。けれども、やっぱりこれなのである。

いずれ、良いものは良いと知ることは楽しいものだ。

related entry - 関連エントリー

trackback - トラックバック

trackback URL > http://lylyco.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/122

comment - コメント

 ご無沙汰しております。
 ヘッドフォン&イアフォンは、かなり激しく物欲を刺激されるものの一つです。ご指摘のとおり住宅事情もあるのですが、フルレンジでスピーカーを鳴らすことに執着しない私にとっては、頭の中で細かく音像を組み立てられることも、愛用する理由の一つです。
 個人的にはBossのノイズキャンセルが欲しいなぁと思っていますが、なかなか手が出ません。

 あと、街中で密閉型のヘッドフォンを使うのはどうもだめですね。うらやましいのですが、どうしても勇気がないのです。

Mac_Doobieさん、いらっしゃいませ。
Boseはやっぱり人気がありますね。ノイズキャンセルについても、QuietComfortは先駆だっただけあって、一日の長があるように思います。今は第3世代まできて、ついに中高音域の騒音まで無効化するらしいですし。個人的には、電源を必要とするという点で、ノイズキャンセリング系ヘッドホンは選択肢に入れていませんが、今後軽量化、省電力化が進めば手をだすかもしれません。

ぼくは街中のヘッドホンも平気ですね。ただ、大型で音質の良いものは、インピーダンスが高くてポータブルに向かないものが多いので、携帯性も合わせて結局は小型のものを中心に見てしまいます。

コメントを投稿

エントリー検索