草食系男子を真面目に語るのが虚しいワケ

結論からいえば、血液型占いや動物占いレベルの類型化遊びでしかないからである。

草食系男子というのは一種の「あるあるネタ」だろう。そういう人いるよね、という(脳内の)類型にうまく面白い名前を付けてみせた。それが「U35男子マーケティング図鑑」の功績のすべてじゃないかと思う。いわば、夙川アトム演じる「業界人」がカリカチュアとして愉しむものであるのと同じように、深澤真紀が妄想した「草食男子」も「うわあ、そういう男いそう!」といって愉しむための虚像でしかない。夙川アトムのキャラ芸をベースに業界人論などやっては笑われよう。草食(系)男子で若者論などやるもの同様にバカバカしい。あれは印象論を面白く語る筆芸である。

草食というのは要するに、「据膳を食わない」という性質に付けられた名前である。そこから先はキャラクターの肉付けでしかない。「据膳食わない男って○○だよね」という虫食いに「あるあるネタ」で答えるゲームみたいなものである。だから「モテた経験がないから不器用だけど大人しくて優しい」というキャラ付けもできるし、「普通に女友だちもいるしコミュニケーションも不得手じゃないけどガッツいてなくて優しい」なんてキャラ付けもできる。「セックスに積極的じゃない」という点さえ守っていればあとは何でもいいのである。真面目に論じるようなものじゃない。

だから「草食系男子」を論じる面白さがあるとすれば、それはたぶんメタ視点でしかあり得ない。そんな胡乱なバズワードを「どんな人がどう扱っているのか」を観察、分析してみせる。そういう使い方である。30代独身スイーツ(笑)は草食系男子をどう語り、30代ヲタ系喪女はどう語り、30代既婚マッチョ男はどう語り、30代自称草食系男子はどう語るのか…。彼らの言葉を解体分析して、語り手の異性関係のありようや、隠された欲望や、自画像なんかを炙り出して見せる。うまく類型化できれば、ちょっとした「欲望の系統樹」や「自意識の系統樹」が描けるかもしれない。

まあ、いずれ下世話な話ではあるけれど。


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