こんにゃくゼリーの警告文が読めない人のための新世界

確かにこんにゃく入りゼリーはゼラチン原料のゼリーより硬い。

こんにゃくゼリー:死亡幼児は兵庫県の男児 安全性問う声 - 毎日jp(毎日新聞)
痛いニュース(ノ∀`):“こんにゃくゼリーで男児死亡”受け、販売禁止要請を検討…野田聖子氏

こんにゃく入りゼリーは従来型のゼリーにあまりによく似ている。似せて作っているのだから当たり前だ。けれども、これらは別物だ。ゼリーは飲んでも大抵嚥下圧力で自然に潰れる。だから、つるっと丸呑みしても詰まることは、全然とはいわないまでも、あまりない。ところが、こんにゃくは違う。ゼリーの形状はしていても丸呑んで潰れるほどやわじゃない。間違って呑めば詰まる可能性は相対的に高い。実際、1995年以降の死亡事故判明件数は今回の件で17件目になるらしい。これを多いと見るか少ないと見るかは人によるだろう。ただ、食を売る企業としてはちょっと無視できない。

もちろん、「蒟蒻畑」のマンナンライフも何の対策もしてこなかったわけではない。製品自体を吸い込まずに押し出して食べやすい形状にし、その上、押し出してよく噛んで食べようという内容のテレビCMまで制作している。また、2007年10月以降、商品の外袋には「お子様や高齢者の方は食べないでください」というかなり目立つ警告マークまで付けている。「控えろ」とか「気を付けろ」を飛び越えて、「食べるな」というのだからかなり思い切っている。今回の件は、「高齢者」である祖母が「お子様」である孫に(凍らせた)こんにゃくゼリーを与えたというのだから、何ともいい難い。

安全性が求められる商品において危険性が少しでもあるなら、それを周知徹底するのは企業の責務だろう。その点で、マンナンライフが企業努力を怠ってきたようには、ぼくには思えない。そこへきて、佐野真理子という主婦連合会事務局長の言葉など見ると頭が痛い。「そもそも高齢者や子どもが食べてはいけないお菓子が流通していること自体おかしい。早急に消費者庁を設置して、規制すべきだ」とは、あんまりな台詞ではないか。子どもが飲んではいけない飲料や、子どもが観てはいけない映像や、子どもが服んではいけない煙や、子供が運転してはいけない乗り物は流通していいのか?

その危険性はニュースになり、警告もし、マスメディアでアピールもされている。それでもダメだというなら、年間数千人規模の死者を出す自動車など流通させるべきではない。自転車やバイクもだめだ。公共の交通機関も事故死の可能性はままある。営業停止が妥当だろう。階段がある施設も取り壊すべきだ。転落死の危険は無視できない。高齢者や子供は特に落ちやすい。2階建てでもエレベーターの設置を義務付けた方がいい。当然、階段のある建造物に建築許可を出していはいけない。それに浴槽付きのバスルームなんかもNGだ。溺死事故というのはある。シャワーだけにすべきだろう。

世界は危険に満ちている。なんといっても、電気やガスが危ない。感電死、中毒死、焼死…事故死の危険に満ち溢れている。電化製品やガスコンロを規制するとか、そういうレベルの問題じゃない。電気やガスの流通自体を規制すべきだ。ここまでくると、ぼくにはもう、何が危険で何が安全なのかよく分からない。何をどれだけ捨てればこの社会から危険を拭い去ることができるんだろう。過去に学び、危険を認識し、個々人がそれを回避すべく行動する。それができないという前提に立つ限り、危険の排除には際限がない。当然だけれど、マンナンライフを潰せばもう安心という話ではない。

何もない、ただ安全だけがある、素敵な世界へようこそ。


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「こんにゃく入りゼリー」よりものどに詰まって死亡した件数が多い危険な食べ物ベスト10 - GIGAZINE
#統計処理は酷いけれど、皮肉の方向は嫌いじゃない。

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こんにゃく入りゼリー販売中止の反対署名作ったよ
http://www.shomei.tv/project-146.html
わかりにくいけど真ん中あたりの「今すぐ署名する」を押してくれ。
匿名でもあだ名でもOK。捨てメアドだけあれば署名できるよ。
11月3日まで募集して、集まった署名は消費者庁の所に持って行くよ。

こんばんは。
こんにゃくゼリーの危険防止に対するメーカー側の努力について素朴な疑問なんですが、どうして思い切って従来の3分の1以下程度の大きさにしなかったんでしょうね。
素人考えでは、喉に詰まりにくいハート型に変えたりするよりよっぽど低コストに実現できて、危険防止効果も高かったように思うんですけど・・。

って、すみません。
「夏への扉」のトラックバック記事を辿ってこちらに参りました。
ダンの諦めない姿勢が、冒頭でピートが「夏への扉」を探すエピソードに象徴されている という指摘に、なるほど~! と思いました。
私も大好きな小説で、記事をアップしていますのでTBさせていただきますね。

> さーにんさん
サイズについては、実際に高齢者の方が、いくらか小さく砕いた状態でも喉に詰まらせた事故が過去にあったようです。ですから小さくするのではなく、逆に普通ひと口では飲めない程度の大きさにしておいてきちんと咀嚼させる、というのがその段階での対策だったようです。その上で、それでも危険な子供と高齢者には食べないよう警告する、という流れだったみたいですね。

ぼくは遅れてきた読者の一人ですが、やっぱり『夏への扉』はいいですよね。そちらの記事も拝見させていただきました。さーにんさんの仰る3つの魅力をはじめ、読む人ごとに色んな魅力を見付けられるような、そんなお話なんだと思います。

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