ホッテントリの本当の意味

はてなブックマークのコメント欄にはプチ批評家が多く生息している。

少なくないブロガーが批評家気取りで持論をぶつ。同じように、ブックマークにわざわざコメントを付けるような人も、結構な割合で批評家を気取る。そういう現状がまずある。一応は批評なのだから上目線なのは当然である。一所懸命に書いたエントリーにネガコメやネガタグがつくのも、批評家が多いのだから仕方がない。野球ファンが贔屓球団の監督の采配に厳しいのと同じである。彼らはたぶん監督の代わりに采配を揮えるわけではない。星野批判をする人が星野より上手くやれるわけではなかろう。だからといってプロのやることにケチをつけてはいけないという法はない。

ウェブ上に文章を公開するということは、その内容如何に関わらず批評の対象になり得るということだ。はてなみたいな批評好きが集まる場所に晒されたなら、なおさらである。ブロガーが批評家気取りだからといってその内容が真っ当であるとは限らないように、はてなコメンテーターの質だってピンキリだろう。というか、それくらいに思っていた方がいい。たとえば、コメントやタグで呆れてみせているブックマーカーが、当該エントリーの趣旨をきちんと汲み取っているとは限らない。その人のブックマークを見てみたらネガタグしかつけてなかった、なんてこともままある。

ブックレビューを書こうと思えば本を読まなくちゃいけない。社会批評をやろうと思えばある程度世事に通じる必要がある。それに比して、他人のブログ批評は手軽な娯楽である。とりあえず1エントリー読めば書ける。素人の書くものには比較的穴も多いだろう。はてなブックマークはこの素人ブログ批評を飛躍的に手軽にした。いまやはてなブックマークは、ほとんど「ひとことコメント機能」と化している。元は管理用だったはずのタグ機能までもが批評に使われている。この辺りのローカルな風習は、ある程度はてなを観察していないと理解不能なまでに非一般化している。

つまり、はてなブックマークは「論壇ごっこ」を楽しむプチ批評家たちのステージなのである。これこそはてなのアクティビティの源泉ではないかとさえ思う。「最近の人気エントリー」、いわゆるホッテントリに上がってくるのは役に立ちそうな情報か、「はてな論壇の今日の議題」のどちらかなのである。その意味で、ホッテントリに良質といえないようなエントリーが上がってくることには意味がある。あれは「今日はここで祭りをやってますよ」というお知らせなのである。だから、たとえ「これはひどい」タグ満載のエントリーであってもホッテントリ入りすべきなのである。

はてなにとってホッテントリは今のままで十分にその役目を果しているといえる。

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