大阪歴史博物館 特別展「脳!-内なる不思議の世界へ」

大阪歴史博物館 特別展「脳!-内なる不思議の世界へ」昨日は唐突に脳味噌を見に行ってきた。

特に興味があったわけではない。そもそも家を出たときはそんなものを見に行くつもりなんてまるでなかった。行き先は決めていなかったのである。待ち合わせ場所にきた彼女が脳の展示をやっているらしいよ、と口走った。じゃあ、行こうか。そういうことになった。

書店で観光マップを立ち読みして、大阪歴史博物館の位置を確かめる。地下鉄谷町四丁目駅のすぐそばである。駅に着き、案内板にある通り9番出口を出るとまさしく目の前だった。ずいぶんと広々とした場所に建っている。それは、つい採算の心配をしてしまうほどだ。

大人ひとり千円の当日券を買い、6階の展示場へ。

展示はいくつかの区画に分かれていて、クライマックスはいきなりやってきた。アジアゾウとマッコウクジラの脳の標本が、入り口正面にドンと立ちはだかっているのである。大きい。たぶん、見ているぼくの頭部全体よりも大きい。なかなかのインパクトである。

でも、考えてみればマッコウクジラは身体だって大きい。身体の大きいオスの場合、その脳は7kgに達するというけれど、少し調べてみると体重が50tにもなる。つまり脳が占める割合など、せいぜい体重の0.014%程度に過ぎない。これで脳が大きいといっていいものかは疑問である。

ちなみにヒトの脳は体重のおそよ2%を占めている。

まあ、脳のサイズがどの程度知能に影響するのかは分からないし、体重との比率でその性能の良し悪しが決まるのかどうかも分からない。ならば、こうした比較にはそれほど意味はないのかもしれない。それはさておき、展示物である。ここからとにかく脳のオンパレードである。

ほとんど綿毛にしか見えない無脊椎動物の脳にはじまり、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類と、かなりの種類の標本が並べられている。脳だけを取り出したものもあれば、全身標本の頭部だけを切り開いたものもある。どこが脳なのかよくわからないものも結構あった。

図解などの説明は案外に少ない。

アホロートルやオオサンショウウオの標本などは、見ようによってはグロテスクかもしれない。鳥なんかも生々しくて、嘴がついたままだった。ぼくの彼女の場合は、やっぱりヒトの頭がキツかったようだ。後頭部を開いた頭丸ごとの標本で、脳からびろんと延髄が垂れていた。

他にもヒトの頭のスライスなんかもあった。リアルMRIである。よく見ると頭皮に5厘刈りくらいの毛が生えていた。茶髪である。もちろん、この手のリアリティを愉しむための展示ではない。にもかかわらず、そういうところに目がいくのは、ぼくが学究の徒ではない証だろう。

あまり歴史と関わりのない展示だと思っていたら、南方熊楠の脳が飾られている辺りから様子が一変した。第2の区画に入ったらしい。これがなぜか「大阪の医学史」という展示で、まったく脳と関係がない。そうとうに無理矢理な展示構成である。

そんな資料館のようなスペースを抜けると、今度は体験コーナーである。大方の予想通り、ニテンドーDSも置いてある。ここまできて脳トレでもあるまいと、手は出さなかった。他にも五感や記憶、反射に関わる展示物が結構あった。ただ、ここでも説明不足の感は否めなかった。

いずれ、この手のアトラクションにさしたる興味はない。

とにかく脳が沢山見られる。この展示の意義はこれに尽きる。

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