韓国ドラマ“ごめん、愛してる”の魔力

韓国ドラマ“ごめん、愛してる”韓国ドラマ“ごめん、愛してる”Yahoo!動画で見られる

何かと話題のドラマだったはずだ。はずだ、というのはぼく自身はその渦中にいなかったからだ。ただインターネット周辺で風評はたびたび目にしていた。なにやら深みに嵌まって抜け出せない人が多発しているという。しかも患者は韓流フリークばかりではないらしい。

ぼくは韓国ドラマに詳しいわけではまったくない。これまでにちゃんと見たのは唯一“宮廷女官チャングムの誓い”くらいである。今はその後に始まった“チェオクの剣”というのを見ている。どちらも時代劇である。現代モノはひとつも見たことがない。

仕事から帰って特に何をする気にもなれず、ぼうっとネット上を徘徊していてこのドラマにぶち当たった。特に気に留めていたわけではないのだけれど、頭の片隅にタイトルが引っかかっていたものらしい。タダだというから、見てみることにした。

決してとっつきのいいドラマではない。

何しろキャラクター設定があざとい。その上、中島美嘉‘雪の華’の韓流カバーをはじめ、いかにもなスローバラードが流れまくる。なるほど、最初から涙腺決壊型ドラマを一直線に目指しているのだなと、つい身構えてしまう。どうにも、やりすぎ感が否めない。

ところが、しばらく見ているうちに、このあざとさにまんまと釣り込まれてしまう。理由は簡単だ。台詞が少ないのである。たぶん、役者の演技は十人並みだ。ファンたちは絶賛しているけれど、それほどのものだとは思えない。むしろ役者に喋らせない脚本の手柄である。

喋らない役者たちが、妙に臭い芝居をしている。これが癖になる。たとえばヒロインなどは、ロリコン萌え属性全開といっていい。ざっくりしたニットのワンピースに大きな防寒靴のようなブーツをはき、途方に暮れて異国の地をトボトボと歩く。思わず手を差し延べたくなる頼りなさだ。

護ってあげたい韓流ヒロインNo.1の座は堅い。

そしてその相手役らしい男も凄い。貧乏な生まれで海外に養子に出された韓国人という設定である。彼に祖国の記憶はない。一途に恋人を愛する彼は、けれども観光客を狙ったモノ盗りなどして糊口を凌いでいる。やたらワイルドな風貌で、それでいて酷く醒めた目をしている。

いわゆる目の演技をしまくりで、はじめは少し恥ずかしい。けれども、これまた慣れてくるとだんだん快感になってくるから不思議だ。彼はとにかく第1話から飛ばしに飛ばしている。そして、最愛の恋人がオーストラリア人の金持ちと結婚を決めたことで突如ぶち切れる。

「お前の漬けたキムチ以外は食わねぇーっ!」

などと叫ぶに到り、ぼくは彼の虜となった。いや、ギャグでいっているのではない。この台詞がシリアスなドラマとして成り立つ力技に感嘆しているのである。ここから10分程度の怒涛の展開は、それだけで2時間サスペンス1本分以上の高密度といっていい。

何の前知識もなかったものだから、この展開には目が眩んだ。10年以上も前に日本で流行ったジェットコースタードラマも顔負けの急展開である。この1話のラストを見て続きが気にならなかったら嘘だろう。完全にしてやられた。もう見ないわけにはいかない。

すでにYahoo!動画の更新など待っていられない気分だ。

正直、マイッタ。

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