もしぼくが #studygift 騒動の釈明係を担当したら

まず、studygift は「学費支援」に擬態した「一芸おひねりプラットフォーム」であることを、ここで明確にしておきたい。この点をサイトに明記できておらず、誤解を与えたことについては深くお詫び申し上げる。支援を求める理由など一読すればネタと判る内容にしたつもりだったが、擬態のクオリティを優先し過ぎたかもしれない。少し前の「虚構新聞」騒ぎから、一般的なネットリテラシーの程度について、もっと真摯に受け止めておくべきだったと反省している。また、初号商品として、坂口さんが持つアイドル要素を前提にメルマガや交流イベントという実質的なファンクラブサービスを提供しておきながら、企画者との関係を追及しておかなかった点も運営側の失策だったと認識している。

そもそも、studygift はなんらかのネット芸を披露することでユーザーから少額の支援を募る、投げ銭サービスとして企画された。ここでいうネット芸とは「ネットで注目を集める」くらいの意味だ。そして、「学費支援」を擬態する上で考案されたのが「ノマド学生」という基本コンセプトだった。もちろん、当代流行の「ノマドワーカー」になぞらえたネタであることはいうまでもない。手元にある企画時のメモには「大学に縛られない新しい学生のカタチ。知の高速道路化が十分に進んだいま、履歴書を埋めるためだけの学生生活に、高額な学費を支払うなんてもったいない!モバイル端末とインターネット環境とオシャレなカフェさえあれば、いつでもどこでもノマドスタディイング!」とある。

坂口さんの場合、あの写真写りなら高解像度グラビアだけでもそれなりにIT男子諸氏からの投げ銭が期待できると考え、当初は「早稲田大学中退後、フリーのノマド学生として主にインターネット界隈で活躍中のIT女子」というキャッチフレーズで、主にネットアイドル活動、具体的には、冒頭でも少し触れた本人執筆のメルマガ、交流イベント(サポーター集会)を売っていく予定だった。しかし、それではいくらなんでも判りやす過ぎてつまらないという意見もあり、あのような形でのローンチとなった。スピード感が僕たちのウリだというプレッシャーもあり、サイトコンセプトの説明が不十分となり、真面目な苦学生に寄付を募る趣旨のサービスであるとの誤解を招いたことは非常に遺憾である。

しかし、このサービスは、たとえば「著しく社会不適応でネットで目立つくらいしか特技がない」といった人たちに収入の機会を与え得る。もちろん、ある種特殊な才能なり感性が必要であり、遍く貧困層にチャンスがあるとはいえないだろう。逆に、さして困窮していない坂口さんのような人にも平等にチャンスはある。けれども、それが欠点だと我々は考えていない。たとえば、貧困から這い上がる手段として一芸を持って芸能界に賭ける人がいる一方で、浮世離れしたお金持ちの子息が物好きにもタレントなんかになって成功したりもする。別に、貧困層だけを選り分けてチャンスを与えるだけが受け皿の正しいあり方だとは思わない。氏素性を問わない、というだけでも希少かつ有意義だと思う。

今回、ネタがネタとして機能せず大きな誤解を生んだことは、ひとえに当方の準備不足、認識不足によるものである。今後は「ノマド学生」というコンセプトの周知を徹底し、「ネットで受ける」、あるいは、「我々運営側が面白いと思う」才能に対して広く開かれた支援プラットフォームとして、ユーザー諸氏に納得していただけるサービスに育てていきたい。勉強ができるとか、プログラミング技術があるとか、営業能力が高いとか、従来の枠組みの中でお金を稼げる人はそうすればいい。けれども、そうでない人にはそうでない人用の受け皿があってもいいだろう。無論、studygift はネット芸という限られた才能の受け皿でしかない。将来的には、もっと多くの受け皿も用意していければと思う。

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※ ぼくの勝手な期待を裏切ってくれた実際の釈明はこちら
http://japan.cnet.com/news/business/35017282/

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