年齢も性別も超えたエロ先進社会、或いは、ロリコンの解放

エロというプライベートは相当にパブリックの影響を受けている。

男女でエロマンガについて楽しく語り合うためには - E.L.H. Electric Lover Hinagiku

「性別を超えてオナニーについて楽しく語り合う」ことは、たぶんエロというプライベートの陳腐化を意味する。エロから淫靡を取り払ってしまう。端的にいって、人が社会的である限り、性的嗜好の幅なんて高が知れている。だいたい多くの個性は全体としてはさほど突出したものではない。それは「自分は特別」という若き幻想から覚めた人が共通して感じる類の感覚だろう。ならばエロに関してだけ特別ということはない。いくら「こんなドロドロした欲望を抱いてるんだ!」と思っていても、ほとんどは平凡な欲望なのである。ロリも鬼畜もスカトロも陳腐な性欲にすぎない。

要するに、変態だとかいうのはその欲望自体が珍しいわけでも異常なわけでもない。「こんな欲望はイケナイ」という社会的抑圧が、一般的嗜好というものを鋳型にはめているだけのことだ。そんなものは幻想だ。「イケナイ」という規制そのものが社会的なものであり、社会的であるということは実はよくあるということだ。社会的に認知されない性癖は最初から抑圧の対象にならない。異常と呼ばれるのは、それが社会にとって都合の悪いものと認識されているからだ。たとえば、鬼畜がダメなのは人を傷付けるからだし、露出がダメなのは不特定多数の人を不快にするからだ。

では、ロリコンはどうか。少なくともオナニーネタについては、映像技術の発達によってある程度解決される。犯罪者が撮影した本物の映像に頼る必要はなくなる。問題は、実際に幼女相手に性欲を満たしたいという願望である。無理に犯すのは、これは相手が幼女じゃなくても犯罪だ。肉体的に傷付けるのも同じだ。じゃあ、相手が嫌がる状況ではなく、心身ともに傷付けない方法で性交渉を行うとしたらどうか。個人的には、これが本当に可能なら禁止する理由はないように思う。けれども現実には、ここまで穏当な性交渉ですら相手の子供を「社会的に」傷付けてしまうのである。

この場合、実際に彼女を傷付けるのは大抵「変態に悪戯された」という負の視線である。しかも率先して傷付けるのは、まず両親や身近な人々だろう。こうした視線が皆無なら、彼女は「幼少の頃辱めを受けた」と心の傷を負う必然性はない。逆に、幼い頃から可愛くて性的な意味でもモテモテだった、というのが社会的にプラスの評価を得られるとしたら、肉体的にも精神的にも傷付くことなく、むしろ自信を持って成長するかもしれない。これは実はロリコンだけの問題ではない。そもそも女性が性的対象に見られること自体、何やらイケナイことのような風潮があるのではないか。

この「性的対象に見られる女性」を蔑視する風潮に、果たして正当性はあるんだろうか。ぼくにはあるように思えない。男性の場合、あまりこうした理由で蔑まれることはないように思う。これは変な話である。性的魅力を持つことに是非はない。それは年齢性別を問わず、だ。だから、自分にとって魅力的な10歳の異性に性欲を抱くことはあり得るし、そう思われた10歳の子供はそのこと自体を恥じる必要はない。もちろん、その性欲を受け入れるかどうかの選択権は全面的に保障されなければならない。これまた、年齢性別を問わず保障されるべき権利であることはいうまでもない。

否、子供はまだ判断力が未熟だからダメだ、という人もいる。ぼくにはそれと性の問題がどう関係するのかよく解らない。人生経験の乏しい人間の判断力が未熟なのは何も性の問題に限らない。だから、大人は「よかれ」と思って子供を教育するしかない。それは決して、子供の主体性を尊重することではない。教育とは大人の思惑に沿って子供に経験を与えることだ。それがすべての子供の将来に有用である保障はない。子供に性的経験を与えることが子供の将来に重大な影響を与えるからダメだというなら、あらゆる教育は否定されてしまう。性体験の影響を悪と断ずる根拠はない。

つまり、年齢性別を問わず当事者同士の合意を前提に行われる性交渉であれば、偏見のない社会においては何ら問題がないということになる。ヘテロもホモもペドフィリアもジェロントフィリアも、単にひとつの性向にすぎない。それによって社会的に傷付けられるいわれはない。こうした前提に立ってなお、満たされ得ない性癖というのはある。他者に被害を与えることでしか満たされないタイプの性欲がそれに当たる。そうした欲望を持ってしまったなら、これはもう不幸というしかない。ただ、現行社会は本来傷付ける必要のない心まで社会的に傷付けていることは事実だと思う。

まあ「当事者同士の合意」を保障するのが酷く難しい、というのが現実ではあるのだけれど。

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