こんな人に iPhone 3G は向かないかもしれない

・乗換えを従来携帯の機種変レベルで考えている人

どうもiPhoneはこれまでの日本型携帯電話にない思想で作られた製品らしい。だから、iPhoneのことをよく知らないまま、流行っているからとかテレビで絶賛されてるからとかいう理由で買うと、かなりの率で戸惑うことになりそうな気がする。最低でも「メールは本体内に30日しか保存できない」とか「携帯専用サイトは見られない」とか「絵文字・デコメは使えない」とか「着メロ・着うたは使えない」とかいった辺りの事情は知ってから買うべきだと思う。あと、ぼくの周囲でたまに誤解している人がいるのだけれど、iTunesから取り込んだ曲を着メロにする機能なんかない。

(追記)
はてブコメントでkanoseさんよりツッコミをいただいたので調べ直して以下に訂正。

誤)「メールは本体内に30日しか保存できない」
正)「メールは本体に保存されず、サーバーからも30日で削除される」
#30日以上保存しておきたいなら別アドレスに転送するしかないらしい。

誤)「iTunesから取り込んだ曲を着メロにする機能なんかない」
正)「40秒以下のAACなら着メロにできる。Storeから30秒以内にカットした着メロを購入もできる」
#Storeから買わず自力で40秒以内の着メロを作るには多少の手間とノウハウが必要かも。
(追記ここまで)

・未完成であることを許容できない人

iPhone 3G は出たばかりで、まだApple流モバイル端末の基本理念を提示したところだ。その革新性に触れることは他の欠点を補って余りある。そういう人でないとiPhoneを使うのはちょっと難しい。新しいということは作る方も使う方も手探りということだ。使い使われる内に洗練されていく。頻繁に使うと半日で電池がなくなるとか、日本語入力が悲惨だとか、テキストのコピー&ペーストができないとかいう不便さはどんどん改善されていくはずだ。お財布ケータイだってそう遠くない将来使えるようになるかもしれない。それを納得した上で今買うかどうかを考えればいい。

・メカいじりを楽しめない人

インターフェースデザインからして革新的なiPhoneでは、従来携帯で蓄えてきた操作勘があまり役に立たない。かといって、あらゆる機能を直感だけで操作できるほど簡単な機械でもない。洗練はされているけれど簡単ではないのである。だから、そうした操作の習熟過程をも含むユーザーエクスペリエンスをワクワクしながら楽しめる人じゃないと、かえってイライラさせられることになりかねない。また、そうした新しいスキルの習得意欲が低い人は、iPhoneの大きな魅力のひとつであるApp Storeにも魅力を感じない可能性が高い。これでは宝の持ち腐れになるかもしれない。

・夢にお金を払い続ける金銭的精神的余裕のない人

iPhone最大の(ただし潜在的な)魅力は、本当に場所も人も選ばないネットワークインフラへの可能性だと個人的には思っている。iPhoneはその端緒を開いた。ただし、開いたばかりだからまったく十分ではないし、今はまだその断片と予感を楽しむことしかできない。そんな明るい未来から現在価値を逆算し、お金を投資できる人じゃないとiPhoneへの出費はちょっとシンドイ。本体を分割払いにした場合、8Gで月8,240円、16Gで月8,720円の支払いが最低ラインになる。今のぼくなんて大抵月4,000円未満だから倍以上の負担になるのはちょっと痛い。2台目使いなど夢のまた夢だ。

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

最後の最後にやってしまった。そう、ぼくは買ってない。日和見主義のぼくは、初物には手を出さない。これから頻繁にされるだろうバージョンアップの様子や、ネットワーク環境の拡充や、アプリケーションの充実や、シェア拡大のペースなんかを長く生温かい目で見守っていきたいと思っている。そして、iPhoneがおよそ一般大衆の持ち物となったとき、初めて購入を検討しよう。会社や自宅のネットワーク環境の一部を、あんな手のひらサイズの端末でストレスなく持ち出せるようになったなら、それはそれは楽しいだろうと思う。それに縛られるような使い方さえしなければ。

今日までにぼくの狭い交友関係の中でiPhoneを買った人=2人


【関連して読んだサイト】
iPhoneという奇跡:江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance - CNET Japan
iPhone 3G のダメダメなところまとめ
iPhone 日本発売日と価格を追う 

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日本のケータイ文化が成熟しているための iPhone の物足りなさ、よりも、「日本のケータイ文化を前提とみなすリアル」に対応できてないですよね。

「みんなが使える機能」、言い換えるなら、「私も使うだろうと他者に想定されている機能」が使えない限り、“ケータイとしては”決して成熟できません。いくら他の機能が高かろうと。
誰かが iPhone を持とうと周囲は、なんのおかまいもなく絵文字を送ります。
アドレスは赤外線で交換するモノです。
“音を出せない状況で連絡を取り合っている瞬間”など、プッシュメールもないと辛いです。

以上の機能は、仮に《私》には不要であれ、他者は iPhone ユーザーも当然持っていると想定するでしょうから。

> 棚旗織さん
仰るような状況を鑑みるに、iPhone普及の最初の課題はiPhoneのコンセプトの周知徹底でしょうね。従来のケータイとは根本的に違うぞ、ということを既存のケータイユーザーに広く知らしめる。しかるのち、その新しい魅力を最大限に伝え、従来型ケータイ文化からの乗換えを促す。つまり、iPhoneが打倒すべきは既存のケータイ端末たちなんかではなく、既存のケータイ文化そのものなんですよね。ソフトバンクやアップルはもっとその辺りを戦略的かつ明確に打ち出していかないと、今のままではiPhoneを多くのケータイユーザーが正しく評価することさえできないように思います。まあ、ソフトバンクにとってはiPhoneなんてただのパンダで、そんなものに日本のケータイ文化を乗っ取らせる気なんてさらさらないのかもしれませんが。

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