台湾初日~中正紀念堂・鼎泰豊・龍山寺・夜市

龍山寺嬉々として社員旅行に臨む。

最早、そういう世間ではないようにも思う。これがぼくのいる会社はそうでもない。アカラサマにはしゃぐような歳ではないにしろ、それなりに愉しみにしている人が少なくない。そもそも世代差や上下関係の希薄な社風である。気兼ねなんてものがあまりないせいもあろう。そんな風潮の良し悪しはおくとして、どうせ行くなら楽しめる方がいいに決まっている。

個人的には初の海外である。といっても、台湾は近い。出入国の手間を除けば、北海道に行くのと大差ない気さえする。時差は1時間。時が巻き戻る。空港を一歩出ると、湿気を含んだ熱気が押し寄せてくる。なるほど、ここは亜熱帯の土地である。現地ガイドに先導され観光バスに乗り込む。流暢だけれどかなり癖のある日本語を話すガイドである。

この翁(オウ)さんというガイドがとにかく強烈だった。

実に真面目で、頑なで、シッカリし過ぎている。バスに乗り込んでから息継ぐ間もなく話続ける。自己紹介に始まり周辺の観光名所の来歴やら日本との関係やら、とにかく堅い話を飽かず話し続けるのである。それも大変に勢いのある聞き取り辛い日本語で捲くし立てるのだからたまらない。前日まで働いていた身に有り難いのは薀蓄よりもクイズよりも癒しである。

中正紀念堂に着いてようやく自分のペースで観光できるかと思いきや、ここでも翁さんガイドの団体行動である。カメラを構えて集団を外れたりマイペースで展示物に見入ったりしていると、なんと説教を食らってしまった。観光とは国の光を観るという意味で云々という語源に纏わる俗説を引き合いに出し、つまるところしっかり勉強して帰れというわけである。

台湾の旗、年号、蒋介石に絡むあれこれを有り難く拝聴し、早くも疲労困憊の様相を呈し始めたぼくらを乗せて、観光バスは格安ツアーのお約束、観光客向けの土産物屋に到着。ここで自由になれると思ったら大間違い。茶のセミナーと称して店の婆さんによる実演販売に付き合わされる。開放されて店内をぐるり見渡すと、どれもこれも大層なお値段である。

当然のように何も買わず、再びバスへ。

旅の愉しみのひとつは食である。待ちに待った夕食は超有名店「鼎泰豊」。台湾点心の雄、小籠包を食すため連日大量のツアー客が押し寄せるという。この日も当たり前のように店の前は空席待ちの客でごった返していた。ツアーであるからして、当然予約席に案内される。ガイドは自分が交渉して入れてもらうとかいっていたけれど、いくらなんでもそれはないだろう。

まずは台湾ビールと紹興酒を頼み、後は全自動で蒸籠がゾロゾロと運ばれてくる。小籠包5つを皮切りに、海老餃子、韮餃子、海老燒賣などなど、蒸し物点心が目白押しである。良くも悪くも大衆の美味で、グルタミン酸ナトリウム的な旨みが最初のひと口を派手に演出している。どれを食しても肉汁というのか脂分がトロトロと出てくる。これも嬉しいのは最初だけだ。

夕食半ばにして食傷してしまったぼくは、大先輩にすすめられるまま紹興酒をグビグビと頂き、後半は味なんてどうでもよくなってしまった。というか、似たようなものばかり量が多くてとても食べ切れなかった。デザートまでが皮に包まれていて、何かと思えば中身は丸々餡だったらしい。ぼくは満腹で食べていない。どうも台湾の食は口に合わない気がしてきた。

いい加減チェックインしたい気持ちが高まる中、この日のツアーはまだ終わらない。これまた観光名所の筆頭、龍山寺に参ることに。仏道混合の寺らしく、台北最古の寺院という割にはなんでもありな雰囲気だった。ライトアップされた社殿はなかなかに煌びやかで、電球を多用した内装も含め古色を味わう観光寺というより現在進行形の宗教施設という印象が強い。

先ほどつい社殿と書いたけれど、寺といっても雰囲気的には日本の神社に近い。コーナー毎に色々な神様が祭られている。ただ、線香を焚くのは日本でも寺でよく見る光景である。変わったところでは、境内に常時演歌のような音楽が流れていた。ただ、信仰自体は人々の間によく浸透しているらしく、夜間にも関わらず参拝者の列が途切れることはなかった。

不信心集団の境内ジャックを終え、再びバスへ。もうバスを見るのもウンザリしてきた。強健ガイド翁さんの解説は絶え間なく続いている。この日最後の観光地は夜市である。テキ屋ストリートとでもいうべき露店街で、激安粗悪な服やらアクセサリーやらジャンクな食いモノやらが所狭しと並んでいる。もう見るべきものも見る気力も尽き果てている。

機械的に通りを往復し、途中、連れが射的などして遊んだ以外は何をすることもなく集合場所へ。この30分を自由時間と呼ぶのはあまりに不当である。初日から暗雲立ち込めるとはこのことだ。旅の栞にはなかったオプショナルツアー満載の旅程に厭な予感は膨らむばかりである。予定通りなら2日目は半日自由ということになっている。およそ、その通りにはなるまい。

ホテルに着き、ようやくツアーから開放されたぼくたちは、すでに夜の街へ飛び出していく元気もなく、ホテル横のコンビニで酒と菓子を仕入れる。あちらはやたらセブン・イレブンとファミリーマートが多い。ついでに売っているものも日本とさして変わりない。値段的にもそう安いということはなかった。缶チューハイと菓子と台湾のテレビでまったりと1日を終える。

同僚が旅先でまで仕事に精を出す横で、ぼくはさっさと眠りに落ちた。


【外部リンク】
・台湾旅行写真 - fotologue My Gallery

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comment - コメント

りりこちゃん・・・・・旅行記楽しみにしとったのに(うちは台湾に行きたいとも思わないから)・・・楽しくなかったのね~( p_q)エ-ン
確かに油コッテコテとか皮包み物とか続くとげんなりするな~。

なんか初日から酒まみれ(ヤケ??)なのもわかる気がする・・・( ̄Д ̄;;

musaさん、いらっしゃいませ。
初日はもうホントにくたくたでしたね。心身ともに。
紹興酒がまた、ぼくには少々癖のある味と匂いの酒で、正直美味いから飲んでいたという感じではなかったなぁ。ま、ヤケに近いといえば近かったかも!

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