台湾2日目~國立故宮博物院・九份・台北地下街・西門町

diary070928.jpg台湾2日目は慌しい朝食から始まる。

ツアーバスの出発は午前8時20分。明け方まで部屋で仕事に励んでいた同僚が目覚ましやモーニングコール程度で起きるはずもない。出発の30分前になってようやく叩き起こす。身繕いを待って部屋を出たのがもう8時になろうかという時間。食後部屋に戻る暇などない。朝食券と手荷物をもって1階レストランへ。ビュッフェで許される時間が10分程度とはこれいかに。

まあ、味わって食べるほどの内容ではない。適当に詰め込んで集合場所のロビーへ急ぐ。今日も朝からお勉強モード全開である。行き先はいわずと知れた國立故宮博物院。中華人民共和国ならぬ中華民国の巨大宝物蔵である。歴史の波に翻弄された末に台北に辿りついたお宝たちには、ガイドの翁さんをエキサイトさせるに十分な薀蓄が詰まっていることだろう。

なんと、ここで翁さん音声ガイド付き鑑賞会に当てられた時間は2時間弱。長い。独演会と呼んで差し支えないレヴェルである。昨日の辛い印象がなければ感心してもいいくらいの立派なガイドっぷりを発揮して、次から次へと展示物の説明をこなしていく。ぼくはといえば、ガイド音声を早々にギブアップしてしまったので、残念ながら知識の泉が満たされることはなかった。

知識は増えなかったけれど、昔の中国人何考えてたんだという展示物がふたつだけ印象に残っている。白菜と豚の角煮である。正確には「翠玉白菜」と「肉形石」という。白菜は文字通り翡翠の彫刻作品、角煮は瑪瑙による作品らしい。白菜は意外に小振りだけれど、肉の方は全てにおいてリアル。この意味のないインパクトが大衆受けするのは当然で人気を二分しているようだ。

ともあれ、無駄に記念撮影などして博物院を後にする。

そして、この日のメインともいうべき九份の町へ。ここは日本人にノスタルジックな気分を味わわせてくれる町並みがウリの観光地である。しかも“千と千尋の神隠し”の舞台のイメージソースとなった町ときている。どこまでも日本人向けの場所といえよう。アジア映画好きならトニー・レオン出演“悲情都市”の舞台といった方がピンとくるかもしれない。

雑然としてまとまりのない商店街の様子は、その中を歩いているだけでどこか懐かしい気持ちになる。前日の夜市のような騒然とした喧しさはない。適度に活気はあるけれど、躁状態で人を疲弊させるような喧騒ではない。ただ、独特の臭いがあって苦手だという人も少なくないかもしれない。臭豆腐を売る屋台などもあり、場所によってはかなり強烈な臭気が漂っている。

さすがに観光客が多いのはどうすることもできないけれど、確かにこの情景には一見の価値がある。今回の旅行で一番シャッターを切った場所がここだ。古い日本の風景がそのままの形ではなく溶け込んでいる。こうした風景を現地の人々がどういう気持ちで受け入れているのかは分からない。日本人観光客に見せる親日の顔だけが彼らの思いであるわけはないだろう。

昼食もこの九份で摂った。ガイドの説明によると台湾の田舎料理ということらしい。味自体が濃いわけではない。濃くはないのにしつこく感じるのは昨夜の後遺症かもしれない。ただ、独特の香りはある。それ自体ぼくは嫌いではない。内容的には肉、魚、野菜が偏りなく出されヘルシーな印象だ。にも関わらず、台湾にきて胃が縮小したのか普段よりも食えない。

食後は同じ建物内上階でティータイムである。一応、前日の土産物店でのセミナーという名の実演販売は、このティータイムに向けての予習だったことになっている。まあ、この店の人だってちゃんと飲み方くらいは説明してくるわけで、あれはいかに抵抗なく土産物店をツアーに組み込むか考えた末の演出なんだろう。チビチビやるお茶自体は香りも好く美味かったように思う。

九份の後は、前日に引き続き高級(?)土産物店に連れて行かれる。台湾の土産物は茶、パイナップルケーキ、鉱物のいずれかしかない。値札を見ると円で表示されているものまである。もう観光地価格であることは明らかだ。が、このままだと自由時間に良さげな店を探して土産を買うなど不可能かも知れんという恐怖に駆られ、茶とケーキを買ってしまう。

この後、夕食までの2時間弱、ついに念願の自由行動が解禁となる。実に半端な時間である。観光マップで目星をつけていた地下街を目指してひた歩く。土地勘がないものだから、どの程度時間に余裕があるのかが分からない。着いてみると、商店街の構造的には大阪の「なんばウォーク」に近い。ふた筋の両側に細々と店舗が並んでいる。日本語の分かる店員はいない。

ようやくほんの少しだけ、台湾の実際を見たという気がする。周囲に観光客の姿はない。土産物屋にあったお茶が1/3ほどの値段で売られている。大阪のような人通りはないけれど、現地の人たちが思い思いに買い物を楽しみ、茶を飲みながらお喋りに興じている。やたら日本のアニメやキャラクター関連の商品が並んでいる。マニア向けの店が少なくない。

ツアー組み入れ型土産物店の半分以下の値段で茶など買い足したりしているうちに時間が迫っていることに気づく。ヤバい。台湾まできて汗だくで走り回るハメになるとは。ディナーはバス移動である。遅れて置いていかれたのでは目も当てられない。とにかくホテルのロビーを目指して街を駆ける。周囲の店舗に気を取られている暇もない。無念である。

そこまでして連れて行かれた中華料理店は、パッと見は高級な雰囲気ながら、味、サービス共に何ら心に響くところなく、やはり飯は日本が美味いのだと納得するよりなかった。ここでも腹に余るポーションは健在で、大量の残り物をビニール袋に詰めてもらってお持ち帰りする翁さんの逞しさに惚れた。海外では使い捨ての容器などはないらしい。直にビニールである。

この日最もエキサイティングだったのは、結局のところ全行程を終えた後ホテルを抜け出して出かけた、夜の西門町だったように思う。大阪でいえばアメリカ村のような場所である。見知らぬ土地で地下鉄(MRT)に乗り、繁華街に出かける。それだけでもバスで連れ回されるのとは違った楽しさがある。ちなみに台湾のMRTは切符代わりに電子コインが使われている。

西門は若者の街らしく居酒屋やファンション系の路面店が軒を連ねている。彼の国ではメイド・イン・ジャパンがステイタスであるらしい。とにかく日本にちなんだ店名や「日本製」の文字があちこちに見られる。どこかで見たようなキャラクターやロゴが微妙なクオリティで混在しているのはお約束というものだろう。アメ村だって廉価な類似品には事欠かない。

台湾のリアルを覗き見て満足したぼくたちは、MRTの最終がなくなる前にと西門を後に。もっと時間があれば現地の若者たちに混じって居酒屋で飲み食いだってしてみたかったし、もっと遠くの街にも出かけてみたかった。とはいえ、2泊3日の社員旅行にそれを望むのは贅沢というものだろう。翌日は明け方には起き出し空港へ向かうバスに乗らなければならない。

台湾最後の夜は、同室の同僚と語り明かすという中坊並みのハードな一夜となった。

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