ドル・コスト平均法に投資的な意味はないのかもしれない

中長期での投資の話になるとドル・コスト平均法の話題をよく見かける。

これは定期的に同一商品に同額投資する方法だから、自然、商品単価が安いときは多めに、高いときは少なめに買うことになる。だから、この方法で一定期間買い続けると、取得単価は低めに抑えられやすい。要するに、高いときにたくさん買っちまった!というリスクからある程度逃れられる、という話である。それ自体は間違っているとは思わない。ただ、この手法の一番の魅力を投資コストの最小化だとか投資効率の向上だとかいうのは誤解なんじゃないかと思う。1商品を無条件に買い続けるという前提がまず非効率だし、どういった方法と比べて有利なのか判然としない。

たとえば、値動きに目を瞑って毎月同商品を同額で購入するのと、毎月同数を購入するのとを比べるなら、同額購入のドル・コスト平均法が有利なのは分かる。けれども、現実問題として、値動きを無視して機械的に同数を買い付け続けるなんて投資を実行するのは馬鹿げている。比較する以前にそんな危ないことは端からしない。こんなのは、ブレーキ無しの自動車とブレーキ付の自動車ならどちらを運転しますか、というくらいのレベルの比較だろう。ブレーキ無しを選ぶのはよほどの数寄者か無知かのどちらかである。つまり有利も何も比較対象がない。前提が特殊すぎる。

投資を考える人なら誰でも高値掴みのリスクは抑えたい。当然だ。投資というのは安く買って高く売る、がすべてだからだ。けれども、未来は誰にも予測できない。経済というのはほとんど人知の及ばない領域にあるらしい。プロが運用するファンドにだって、市場の平均より好成績な商品なんて一握りしかない。それだけ予測しがたいということだろう。そこで、分散投資ということになる。そして、ドル・コスト平均法は高値掴みのリスクを抑える一方で、分散しないというリスクを取ることになる。これらを共に満たそうとすれば、インデックス投資信託ということになる。

インデックス投信をドル・コスト平均法で買う。こういうことをするのは結局のところ、まとまった資金がなくなんとか月々の収入から余裕分を投資に回す、というタイプの投資家だけだろうと思う。まさにぼくのような人間だ。つまり、そもそもが底値でどかっと大量買い付けみたいな芸当ができない層である。この層の選択肢はだからふたつだ。ひとつはもちろんドル・コスト。大局をみてこれからしばらく上昇トレンドだと判断したなら迷わずこれでいけばいいと思う。ちょっとずつでも上昇し切る前に買っておいて、福利によるリターンを最大化した方がいい。

逆にこれから下落に向かうに違いないと判断した場合、ここにふたつめの選択肢がある。積み立て買い付けに回すお金を、今は買い付け余力としてプールする。いつでも買えるように証券口座にでもつっこんでおく。そして、底値を待つ。上昇に転じると判断した時、残高に関わらず全額買い付ける。それ以降、ドル・コストに移行する。そして、それなりにリターンを得た後、再び下落に転じると判断したら一旦すべてを売ってしまう。で、底値を待つ。後はこれの繰り返しということになる。プロじゃない限り割ける時間もお金も限られている。見るのは大局だけでいい。

実はドル・コスト平均法の本当の利点は何も考えずにできることなんだと思う。

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