梅田はヒルトン大阪の中華料理店「王朝」

ヒルトンの「王朝」なる中華に行ってきた。

凄い店名だ。こんな厳めしい名前の店に進んで行くような甲斐性はない。会社の宴会である。社の創成期を支えた功労者のひとりが辞めることになった。それで、こんな大仰な宴が用意されたわけである。別に社長や役員のポケットマネーから出されるわけではないだろうから、ここは食えるだけは食わなきゃ損である。

高級中華と聞いて期待していたのだけれど、そう珍しいものが出るわけでもなかった。その辺りは予約内容によりけりなのかもしれない。テーブルオーダーバイキングということで、恐らくは店の全レパートリーが載ったメニューではなかったのだろう。それでも、名前だけは知っていて、その実食べたことのない品というのもいくらかはあった。

席は十数人掛けの円卓である。ぼくのいたテーブルは同世代くらいの人間が男女半々くらい集ったいわゆる末席である。みんな知った風な口はきいても、高級中華に馴染みなどあるはずがない。とりあえず、注文は一家言ありそうな女性陣と食欲旺盛な若者に任せて楽をさせてもらうことにした。正直、テーブルの注文を考えるなどただの苦痛である。

定番中の定番ともいうべきツバメの巣のスープ、フカヒレの姿煮、北京ダックだけは全テーブル共通で出され、そこから先はオーダーバイキングとなった。注文の品はテーブルごとに大皿で運ばれてくる。ある程度コミュニケーションをとりつつ頼まないと大変なことになるだろうなとは思っていた。案の定、偉く偏った皿が犇めき合うこととなった。

とにかく重複したのが海老である。海老のレモンソースかけを皮切りに4種類もの海老料理が続々と運ばれてきたのには参った。個々に食せば美味いのだろうけれど、いい加減うんざりする。特に1品目でレモンソースはきつかった。見たことはあっても自分では決して頼まない類の食べ物である。食べると思った通りに甘くて胸が焼けた。

そこから先も麻婆豆腐やら海老チリやら肉餡かけ炒飯やらスペアリブやらと、とにかくガツンとくる料理が目白押しで、箸休めになる皿がない。しかも、最初にまとめて幾人かが注文した内容を把握している人間がいなかった。お陰で炒飯が2回来たりしてちょっと気が遠くなりかけた。よりによって宴もたけなわというタイミングでくるのだから参る。

とにかく注文の仕方が悪いものだから、美味いものも素直に美味いと思えない。こんなもったいない食べ方もない。オーダーの内容自体も何やら若者向けの居酒屋にありそうな取り合わせで、鮑などそこそこに旨そうな素材だったのに、よりによって選んだのがクリーム煮である。定番ではあるけれど、周りの皿とのバランスが悪い。

良い干鮑を使ったうま煮など大変に美味しいものだと思うし、クリーム煮だって悪い料理だとは思わない。ただ、何やらソースかけや何とか煮込みばかりではやはりしんどい。メニューにあったのかなかったのかは知らないけれど、たとえば、生鮑を使った冷菜なんかを頼むという選択もあったはずだ。青梗菜や筍や茸類を使った炒め物でもいい。

いずれにしても、大人数の宴会なんてものは高級店でやるべきではない。土台、収拾のつくはずがないのである。もったいないことになるのは目に見えている。美味しくいただけないだけならまだしも、席を立ってみるとテーブルの上にはこってりと皿に腰を据えた食べ物たちがかなりの量残されていた。明らかにオーダーミスである。

ああいう店はそれなりの雰囲気を愉しむのも醍醐味のひとつに違いない。そこへきて、ぼくらみたいなハイソでもなんでもない連中の大宴会である。もっとずっと庶民的な居酒屋でやったってさしたる空気の違いはない。ところが、会社でそんなことをいうと、笑笑とか和民とか美味しくないんだもーん、などという人がでてくる。困ったものだ。

どうせ、みんな味をじっくり愉しんだりしちゃいないだろうに。

何やら文句ばかり書いたような恰好になってしまった。

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