梅田の鉄板焼き居酒屋「梅田てっぱん食堂」

梅田てっぱん食堂久々に梅田で映画を観て劇場を出るともう8時を過ぎていた。

少し遅めではあるけれど晩飯時である。

彼女が目をつけていた「梅田てっぱん食堂」という店に行ってみることになった。阪急梅田の西側は茶屋町の活気に圧されてか、心なし賑わいが落ち着いたように感じられる。それでも小さな飲食店の乱立ぶりは相も変わらず、とかく猥雑な印象は健在である。阪急三番街北館の傍の、小道を少し入ったところにその店はあった。

安くて旨い肉がウリの店らしい。焼肉よりはメニューもバラエティに富んでいる。ぼくの好きな生レバーやホルモン焼きなんかの臓物系もある。てっぱんを名乗るだけあって、サーロインステーキも出るらしい。なるほど、安い、旨いは伊達じゃあないということか。気取らぬ店構えも好もしい。第一印象は良好だ。

それほど人通りは多くなかったけれど、適度に席は埋まっているらしく、暫し表の椅子で待たされる。待ち客はぼくたちだけで、それもすぐに先客が立ち、中に通された。常に満席だけれど、表に行列ができることもない。客足としてはこれ以上ないくらいに理想的である。微妙に奥まった立地が幸いしているのかもしれない。

入ってすぐにL字のカウンター席が10ほどあり、奥には数組のテーブル席が見える。おそらく20名ほどで一杯になるくらいの店である。犇めき合うような狭い店内はすでに活気のある賑わいを見せている。隣客と肩触れ合うようなカウンター席も、重なり合って喧しいばかりの話し声も、こういう店であれば歓迎だ。

生ビールを頼み、ざっとメニューに目を通す。ほとんど表で決めていたから、迷うことはない。てっぱんミックス焼、ホルモンミックス焼き、和牛生レバー、白菜とゆずの浅漬の4品でひとまずは打ち止める。これ以上は、皿の盛り具合と腹具合を見なくちゃ、後で大変な目に遭いかねない。ぼくの辞書に食べ残しの文字はないのである。

まず出てきたのは穏当に浅漬けである。思ったよりもいっそうあっさりしていて、酒のアテとしては物足りないくらいかもしれない。けれども、個人的にはサラダ感覚でつまめてなかなかに良い感じである。店の雰囲気に似合わず、案外に繊細な味付けがモットーなんだろうか。それはそれで先が愉しみである。

次に出たのはホルモンミックス。実はこの店、目の前の鉄板は保温用で、焼きものは食べ頃に仕上げたものが小さな鉄皿に盛られて出てくる。これが好い。何しろ、盛り方に勢いがある。皿が小さいことは確かだけれど、それにしたってこれでもかと肉が山と盛られている。厚い短冊に切られた肉は噛み応えも十分である。

これが、先刻の浅漬けとは打って変わって、イメージ通りのこってり味。

この辺りからビールが進み始める。こってりホルモン、ビール、浅漬けのローテーションになると、どうにもビールの分が悪い。減りが早い。そして旨い。やっぱり大阪でホルモンを食すなら、これくらいのパンチがなきゃダメだろう。味もボリュームも立派に横綱級である。メタボリックなど気にして食えるものではない。

しばし遅れて生レバーがやってくる。これまた値段に比して盛が高い。切り方も大振りで、決してキレイに並べたりはしない。ごそっとつかんで皿に盛る。世間では塩入のごま油を刺身のようにつけて食す店が多いけれど、ここは違う。出す前に塩をふり、油をぶっかけて混ぜてある。客はもりもり喰らうばかりである。

これがまた、やたら食べやすいレバーである。独特の香りは残しているけれど、意外なほどに後を引かない。生レバーがさっぱりなどというと、そんなのが旨いものかと非難されそうだけれど、コクがあるのに後味はサッパリなのである。獣心を奮い立たせるような濃厚レバーもいいけれど、これはこれで捨てがたい味わいである。

最後に出たのはもちろん、てっぱんミックスである。焼き野菜に大きな海老と牛肉がのってくる。つけダレはポン酢ベースのさして特徴のないものだけれど、最後にふられた黒胡椒が効いている。これがピリリと味蕾から脳を刺激して、すでに満腹になりかけた胃袋を揺り起こす。実に効果的に香辛料を使ってくる。

結局、途中でペース調整をしてビールはひとり2杯ずつ、先の4品に通しを合わせて、しめて5,740円。かなりのハイコストパフォーマンスである。梅田にあってこのパフォーマンスは貴重だ。しかも、週末にして行列や門前払いに遭う気遣いもない。アクセスだって良好だ。久々にキタで使える店に巡り合った。

ガッツリいきたいときは、きっとまたこようと思う。


【関連リンク】
ぐるなび「梅田てっぱん食堂」
グルメぴあ「梅田てっぱん食堂」

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