世界で一番美味いメシを見付ける地道な方法

世界で一番美味いメシはと訊かれれば、ぼくならとりあえず米と答える。飽きないし美味い。

世界で一番美味いメシ - pal-9999の日記

このエントリー自体は面白いので、特に批判する意図はない。と、はじめに断っておく。ぼくは多くの日本人の例に漏れず、ラーメンもカレーも大好きだ。近隣で美味いと評判の店があれば行ってみるまで落ち着かない。その程度には愛している。けれども、世界一美味いかといわれれば、残念ながら即答はできない。野暮を承知で書こう。pal-9999はおそらく意図的に誤読しているか、分かりながらあえて引用している。アメリカの某記者氏は「日本のカレーは、世界で最も完成されたカレーだ」とはいったけれど「日本のカレーは、世界で最も美味い料理だ」とはいっていない。

だから、あえていい直そう。「日本のラーメンは世界一美味いラーメンであり、日本のカレーは世界一美味いカレーである」と。もっという。日本の中華は世界一美味い中華だし、日本のフレンチは世界一美味いフレンチだし、日本のイタリアンは世界一美味いイタリアンだ。ぼくは本場の味というのを信用しない。勤勉な日本人はアメリカよりも優秀な自動車を作ったように、各国の料理を自分たちのものにしている。そして日々研鑽を積んでいる。だから、ぼくは日本の料理は世界一だと思っている。日本の料理は美味い。ただし、判断基準はぼくの味覚と経験と想像だけだ。

くだらないことを書いているようだけれど、これは案外大切なことだ。世の中にはランキングと呼ばれるものが溢れている。そして、順位をつけるには基準が要る。けれども、その基準は明示されないことも多い。たとえば、日本一美味いラーメン屋を決めるのに何軒の店を対象にしたのか、どんな人たちが何人で選び、ランキングはどういう方法で決定したのか。どの条件が変わっても結果は変わる。また、評価する人間の数が増えれば信用度が増すように錯覚するけれど、実際にはそうでもない。どんなに分母が大きくても集計方法によって結果はいくらでも変化する。

たとえば、自由投票形式ほどアテにならないランキングはない。ここに、食べたことのある人はたった50人しかいないけれど、50人ともが感激のあまり失神しかけたという超絶激ウマラーメンがある。しかも、お代はたったの500円。なんというコストパフォーマンス!なんという天才!けれども、全国1,000万人が選ぶ激ウマラーメンランキング!に、この店はランキングされない。天下一品と横綱しか食べたことのない自称ラーメン通が天下一品の順位を押し上げることはできても、この究極に美味いラーメンを上位に食い込ませることは誰にもできないのである。

だから、ぼくはその手のランキングはあまり見ない。参考にするのはテーマのハッキリしたランキングくらいである。ラーメン通5人が推薦するベスト10軒!なら多少は読む気にもなる。いい換えればこういうことだ。ぼくが信用するのは、個人が個人の矜持をかけて推薦する店だ。オレ基準ランキングだ。不味い店を勧めることはその人の信用に関わる。だから、下手なことはいえない。そういうものにこそ、ぼくは価値を認める。だから、美味い店の情報を得たいなら、何をおいても好みが近い個人を探すことだ。美食は出会いだ。高くて美味いものだってきっとある。

そして、死ぬまでに出会った一番美味いメシが、世界で一番美味いメシなのである。

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comment - コメント

主観確率みたいな話ですね。

wakiさん、どもです。
知らない言葉だったのでWikipediaで調べてみました。
む、難しいですね。凡その雰囲気はつかめましたが…。
近いといえば近い話なのかもしれません。自信はないですが。

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