Webデザイナーになるために本当に必要なこと

リンク先の勉強は「基礎」としては役に立つと思う。が、たぶん仕事にはならない。

プログラマが1ヶ月でWebデザイナーに転身する方法 - やねうらお-よっちゃんイカを食べながら年収1億円稼げる(かも知れない)仕事術

そもそもWebデザイナーという仕事はとても定義が曖昧で、同じ職種を名乗っていても人によって全然違う仕事をしていたりする。リンク先の基礎知識を元にビジュアルデザインやコーディングといった実作業をするのも、確かにWebデザイナーの仕事のうちかもしれない。ただし、「これしかやらない」のはデザイナー本来の姿ではないと思う。いうなれば、ガンプラを買ってきてキレイに組み立てるようなものだ。もちろん上手い下手はあるだろうけれど、別にプロの仕事ではない。デザイナーがプロとしてすべきはガンプラそのものを作ることだ。組み立てるのは器用な人にやらせてもいい。

デザインという言葉は「意匠」と同時に「設計」の意味を持つ。「設計」といっても、この場合、図面を引くような限定的な意味ではない。たとえば、「ライフスタイルをデザインする」というように、ある種の目的を設定し、実現のための案を練り、具体レベルにまで落とし込むといった一連の思考を指す。デザイナーが扱う「意匠」の背景には、こうした意味での「設計」が必要なのである。「意匠」は仕上げにすぎない。余談だけれど、「設計」をやらないデザイナーがデザイナーを名乗って仕事をすることは、デザイナーを一作業者の地位に固定し業界そのものの評価を下げる恐れがある。

ともあれ、本当にしっかりとした「設計」ができていれば、あとは誰が仕上げてもそれほどオカシなものにはならない。だから、分業が進んだ会社ではこの手の作業を「オペレーター」と呼ばれる人がやったりもする。それは「技術」についても同じだ。Webデザイナーは目的を達成するためにどんな技術が必要か、Flashを使うのが最適なのかJavascriptを使うべきなのか、サイトはXHTML+CSSで作るべきかMTやWPで作るべきかなど、何で何を実現すべきか判断しサイト全体をデザインすることが大切だ。実際にFlashを触ったりコードを書いたりするのは、それが得意な誰かがやっても構わない。

そして、ぼくたちは(少なくともぼくは)、実をいうと、この「設計」部分でお金をもらいたいと思っている。IllustratorやPhotoshopやDreamweaverやFlashで「作業」した分の手間賃ではない。その作業でより「目的に適った」成果物を生むための「設計」は、クライアントにとっても絶対に必要なもののはずだからだ。ぼくたちは「センス」と「作業技術」だけを売っているわけではない。ただキレイだったりカッコ良かったりする「意匠」とコーディングの「技術」だけを格安で売るWebデザイナーにもニーズはあると思う。けれども、それがWebデザイナーだと世評が固定されるのは困る。

「プログラマが1ヶ月でWebデザイナーに転身する」のは構わない。ただ、それは「下働き」として再出発できるレベルでしかないことは心に留めておくべきだと思う。いわば「デザイナーの卵になる方法」である。そして、実際に仕事をこなしていく中で、デザイナーがすべき仕事の肝みたいなものを学びとっていく。ガンプラを組み立てるだけでは仕事にならないことを知っていく。そうやって、少しずつWebデザイナーになっていく。もちろん、「意匠」や「技術」だけをやりたいなら、それが叶う程度に分業が進んだ制作会社に入ったり、人脈があるなら個人で下請けをやるのもいいと思う。

ただ、Webデザイナーの広範な性質を過小評価するような言説が流布するのはちょっと辛い。

related entry - 関連エントリー

trackback - トラックバック

trackback URL > http://lylyco.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/578

comment - コメント

見にくいページですね。

このエントリに同意する何かを感じました。私はWeb制作会社で働いてますが、Webデザイナーになるのは難しいと感じています。サイトで何かを表現しようとこだわりを持っているデザイナさんのことを本当に尊敬してます。

>デザイナーを一作業者の地位に固定し業界そのものの評価を下げる恐れがある。
ここ30年くらいの中小印刷業界がそういうことになってるらしいです。
専門化を進めた結果、人が大手にしか行かなくなってしまって衰退→プリンタ普及で止め。といった感じに。

> _さん
面目ないことです。

> 通りすがりのプログラマさん
どんな職種でも、それぞれに難しさや面白さがあるものだと思います。ぼくも自分たちが実現したいと考えた機能を最適なソリューションで実装してくれるプログラマは尊敬すべき、また頼るべき存在だと思っています。そして、そんな風に尊敬され、頼りにされる存在になることは、どんな職種であってもやっぱり大変なことだと思うのです。まあ、自分がそうなれているのか、といわれると口篭ってしまうのがぼくの情けないところですが。

> RiceXX+さん
ぼくも仕事上紙モノに関わることもあって、中小の印刷会社の方とも多少はお付き合いもあるのですが、同じ作り手としてクリエイティブの一環を担っているという意識で積極的に関わってくれるところはやっぱり少数派ですね。そもそも、そういうニーズ自体が少なくなってしまったのかもしれません。

最近yaneurao氏はWebデザインの仕事を欲しがっているように見えますね。でも、あんな悪徳企業に仕事を依頼すると、運勢が悪くなるような気がします。どうせ脱税のために用意した隠し口座に金を振り込ませたりすると思いますよ。裏でいっぱい悪い事をやってるし、あの会社は呪われてる・・・悪の波動を感じます。悪霊がいっぱい寄って来て、病気になったり、事故に遭ったり、仕事が上手く行かなくなったり、彼女に振られたりします。

コメントを投稿

エントリー検索