深夜営業のない省エネ社会の代償

空腹に耐えずに済む方法はいくらでもあるけれど、問題はたぶんそこではない。

痛いニュース(ノ∀`):コンビニ深夜営業論争…「弁当買えなくなったら、空腹に耐えなければならないのか!」

そもそもコンビニやファミレスの深夜営業が商売になるのは、それだけ利用者がいるからだ。どうしてそんなに利用者がいるのかといえば、日本が競争社会だからだろう。生産力で他に勝る最も簡単な方法は、人が休んでいるときに働くことである。いまや1日24時間、オフィス街から人の消えることはない。この場合、生産性が十分に高ければ短時間労働も可能だという議論はあまり意味を持たない。生産性が十分に高く、かつ、長時間稼動する方が強いに決まっているからだ。そうした競争社会のニーズを前提に、コンビニやファミレスは深夜営業をしているのである。

コンビニもファミレスも営業コスト以上の利益が見込めるなら、深夜でも営業するのが理に適っている。利用者にとっては便利な世の中になる。この辺りから鶏と卵が曖昧になってくる。世の中が便利になれば、ますます残業はしやすくなる。つまり、長時間労働を促す環境が整っていくことになる。もしも、全国の終電が21時に定められたら、それ以降残業する人はずっと減るんじゃないだろうか。タクシーも深夜営業は禁止、コンビニ、スーパー、飲食業、娯楽施設も21時以降の営業を禁ずる。オフィスビルの空調、電気類も軒並み使用禁止にする。これで残業は辛い。

本当に夜間の省エネを実現しようと思うなら、これくらいはやらないと焼け石に水だろう。コンビニ利用者がファミレス宅配利用者に変わったところでさほど省エネになるとは思えない。24時間営業を16時間に短縮することでCO2排出量が4%程度削減されるという試算があるらしい。微々たるものだけれど、削減されるならまったく無駄だとはいわない。けれども、消費者のライフスタイルが変わらない限り、コンビニ以外の利用で代替する可能性は高い。つまり、コンビニ単体では削減できたとしても、代わりにファミレスやスーパーの利用が増えるのでは意味がない。

結局のところ、本当に深夜の消費エネルギーを減らそうと思えば、みんな深夜に働くことを止めなきゃいけない。そしてそれは、深夜の競争を禁止することでしか実現し得ない。そうすれば、夜遊びが楽しい盛りの子供たちも、自然と遊び場をなくすことになる。コンビニもファミレスもカラオケもゲーセンも居酒屋もクラブもない世界で夜遊びするのは至難だ。大人も子供も夜は家で大人しく過ごす。古き良き一家団欒の図である。さて、深夜のエネルギー大量消費は、多くの被雇用者によって支えられている。つまり、深夜の省エネは、即、大量の雇用削減に繋がる。

あとは、それでも省エネを優先すべきだという人がどれだけいるかという問題である。


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コンビニ深夜営業規制に反論=JFA会長 | ビジネス | Reuters

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私は神奈川県鎌倉市七里ガ浜町内会の者なのですが、七里ガ浜海岸にセブンーイレブンが出来てから、
暴走族、改造車族、旧車会、深夜花火族などが集まり、一晩中続くロケット花火の騒音で、
住民の中には不眠で入院するものも出ました。
セブンーイレブンに買い物客以外停めさせるなと言っても、完全無視。
そこで、今では、鎌倉市民の税金を投入して警備員を雇い、7月1日から8月31日までの午後9時から朝の5時まで、
毎日七里ガ浜海岸を警備しているような状態です。
セブンーイレブンは、「巨悪」そのものですね。
七里ガ浜セブンーイレブンは、深夜でも2~3分おきに車が入って来て、驚きます。
暴走族の苦情も多く、毎日、毎晩、110番され、警察が取り締まりに来ますが、
セブンーイレブン駐車場の中なので、道路交通法で取り締まれず、警察も苦慮しています。
あれは鎌倉とは思えない光景で、環境破壊そのものです。
一度、見てやってください。驚きますから。
そのあまりにヒドイ様子を写真やビデオで撮って、いろいろな人が公開してくれると嬉しいです。

> 神奈川県鎌倉市七里ガ浜町内会さん
それは酷いですね。ただ、問題は「巨悪」と仰るセブン-イレブンを排除したところで、暴走族、改造車族、旧車会、深夜花火族たちにモラルが戻ってくるわけではない、という点でしょうね。七里ガ浜セブン-イレブンの深夜営業を止めれば、彼らはそこからはいなくなるかもしれません。けれども、彼ら自体がいなくなるわけではありません。そして、また別の場所で別のアンモラルな行為に及ぶのでしょう。神奈川県鎌倉市七里ガ浜町内会としては当面の苦痛から開放されるかもしれませんが、それをもって問題の解決とするわけにはいかないでしょうね。その意味で、仰るような悲惨な状況は、コンビニの深夜営業問題とは切り離して考えるべき問題なんだろうと思います。非当事者の無責任な物いいになってしまうかもしれませんが…。

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