心斎橋のフリーダムすぎるサロン「FUSION」

大阪ミナミは心斎橋にある「FUSION」。たぶん、日本一ユルい会員制サロンだろう。

もちろん、ユルいだけじゃない。こだわりもちゃんとある。アイリッシュウイスキーにカナディアンウイスキー、音楽、絵画…。こうして並べると、取っ付きにくいと思われるかもしれない。けれども、心配は要らない。本当のこだわりは、たぶんそんなところにはない。オーナーが本当にこだわるのは「楽しむこと」だ。お酒を楽しみ、音楽を楽しみ、絵を楽しむ。どれを楽しまなきゃいけないなんてルールはない。薀蓄を語る必要もない。楽器を弾きたければ弾けばいいし、歌いたければ歌えばいい。ただ、ウイスキーを片手に馬鹿話をするだけでももちろん構わない。

程よく小じんまりとした店内にはピアノが置かれている。土曜日は存分に歌う日だなんていいながら、店にカラオケセットはない。ただ、歌詞入りの楽譜集が2冊置かれている。譜面台もある。そう、オケはオーナーの生演奏である。ピアノをバックに歌う。これはカラオケとは一味違った愉しみに違いない。ぼくは歌をやらないから本当には分からないけれど、ライブの面白さというのは絶対にあると思う。何も肩肘張る必要はない。とちろうがハミングになろうが楽しくやれればそれでいい。そもそも、オーナー自身がそういう演奏をする。だから、聴いていても楽しい。

人をもてなすというのは口にする程簡単じゃない。リラックスして存分に楽しんでもらうとなれば尚更だろう。だから、自由な空気のメンバーシップサロンというコンセプトは、実は結構ハードルが高い。もてなしだと気付かれないもてなしが要る。もてなされていると思うと、人はつい気を遣うものだからだ。かといって、本当にもてなさないのではどうにもならない。お金で場所を開放して酒を出すだけならカラオケボックスで十分だ。サロンにする意味がない。そこへもってくると「FUSION」は巧く半プライベートな空間を演出している。遊びに来た。そういう気分になれる。

ぼくは本当のところウイスキーにはほとんど興味がない。飲んだこともほとんどなかった。だから、ウイスキー専門と聞いて少し躊躇ったのも事実だ。飲んだところで美味いと思える自信がなかった。アルコールにそう強くないこともある。現代絵画にいたってはまるでチンプンカンプンだし、楽器の演奏も歌もやらない。ただ少し、音楽を聴くのが好きなだけだ。それだけで十分だった。ソーダで割ってもらったウイスキーはのどに心地好く、たまたまかかっていたロックやジャズは耳に心地好かった。何よりもコンセプトに忠実な店作りが心地好かった。気持ち良く酔えた。

心斎橋で気取らず楽しく腰を落ち着けられる、こういう場所はとても貴重だ。

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